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2015.05.04

【芝居】「揺籃」おちないリンゴ

2015.4.25 19:00 [CoRich]

26日まで楽園。120分。

男が死んだ。看取ったのは妻が家を出た後に生活を伴にしていた女だった。男の娘たちは家を訪れるが父に捨てられたという長い間の絶縁状態の溝は深い。姉は結婚しているが子供は居ないがそれを受け入れられない。妹は好意を寄せる男が居るが、別れた男の子供を宿していることを言い出せない。看取った女は家を出ていくことを承諾するが、出て行く日に姉妹たちを呼ぶ。

舞台には現れない一人の男をめぐる女たち。内縁の妻であったり、片思いし続けている女であったり、父としての男を憎んでいる娘たちであったり。子供が居なかったり恋人が居ても結婚に踏み切れないすべてが父親のせいではないけれど、やはり父親に捨てられたという想いは姉妹に暗い陰を落としていてというのが前半から中盤の物語。

そこを軸に行くかとおもいきや、物語は大きく急旋回、というかもう一つの軸を紡ぎます。内縁の妻と隣に住む女の、この男を恋愛の対象とする女性たちの話へ。その二人の想いは同じだけれど、隣の女は男のことが好きすぎて、妻の元々の職業であるストリッパーにまでなったのに、その妻を超えられない。 強い想いゆえに痛々しく、切ない。終盤近く、 この二人が語り合い、リンゴのブランデー呑むというシーンが好きです。その直後に明らかになるのは モテる男ではあったけれど、その男の心の中心にあったのはいつでも妻と娘たちであった、という幕切れ。 妻や娘達が出て行った後に入れたテーブルや椅子は、その家族達が戻ってくることを密かに願掛けしていたような男の想いが、娘達に伝わる瞬間なのです。

内縁の妻を演じた由川悠紀子は静かに耐える造型のキャラクタをしっかり。娘たち、妹を演じた木村佐都美は人なつっこく見えてしかし内面の暗い面のコントラスト。姉を演じた加藤記生はほぼ全体を通してヒールであり続ける強度をしっかり支えます。隣の女を演じた小暮智美はストリッパー、というのにきっちり説得力があるような表情の豊かさ、身体の線のキレイさが印象に残ります。男を飼っている女を演じた村山みのりは物語に直接関わる訳ではないけれど、年上女の格好良さだったり、強引さだったりを細やかに。恋する男を演じた木内コギトは優しくあり続ける男の格好良さ、ストリップにハマる夫を演じた北村雄大は逆に男のかっこ悪さを体現。男のダメっぽさという意味では女に飼われている男を演じた森田陽祐はまさにそういう役だけれど、見た目の格好良さが説得力を持ちます。

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