【芝居】「健康いろいろ」(A)桃唄309
2015.5.26 17:30 [CoRich]
桃唄309による短編企画公演。ワタシが拝見できたのはAプロのみでした。4月26日までRAFT。本編60分、おまけコーナーのジェストダンスが5分ほど。更に開演前に次回本公演に向けてのテキストリーディングを開場中におこなていました。
紙芝居、秋田の実家、お姉ちゃんにぞんざいにされても好きでたまらない。二人で縄跳びして。「紙芝居」
特効薬がなく、法律によってその患者たちだけが隔離された治療の島。もうその法律もなくなったがそこで暮らし続けてきた人々は島に残っている。その施設での上演を依頼され芝居を作ることになった役者たち。暮らしている人々の気持ちはわからないと思い現地に行ってみることにする。海も空もおだやかな島。「202x年、帰ろう」
いつもはおまけ枠の紙芝居。ごく短い一本だけれど、佐藤達の木訥としたような秋田弁の語り口、母親や姉が好きすぎてしょうがない子供のころの情景と可愛らしい絵のマッチはいつものとおり抜群。姉との縄跳びで側溝に落ちてけがをするけれど、姉をかばいたいあまりに泣いてしまうなんて、もうね。もっとも描いているのはいい歳をしたオジサンなわけですが。
「202x年、帰ろう」は、ハンセン病(wikipedia)療養のというよりは隔離のために強制的に収容された島を訪れた芝居の作り手たちの物語。芝居の作り手や書き手を題材にした物語は所詮自分の才能や生活を半径5mで描くものがおおくてちょっと見飽きた感はありますが、今作はそうではありません。 今もある療養所(wikipedia)を訪ねる旅を通して感じた感覚がきちんと描かれます。 知識としてのハンセン病や日本における歴史的な背景を織り交ぜ、強制的に家族から引き離されていた患者たちの気持ちを理解しようというモチベーションとして芝居の作り手という枠組みを使ったのは巧い。表現のためではなくて、「人を理解すること」のツールとしての演劇の側面を語る人は多いけれど、それを芝居にしたのは実はちょっと珍しい気がします。 その土地に行ってみた素直な感覚というか、どう自分の中に取り込んだらいいかあれやこれやと悩む感じ。その土地のあまりに平和な風景はきっと隔離されていた時代だってあった風景なのだけれど、その風景から深刻さを簡単には想起できない、という素直な感覚がみずみずしい。
しかもそれは割と軽い語り口で語られていて、そのギャップは、訪ねたときの平穏な雰囲気とこの病気にまつわる人々の深刻さのギャップに相似形のように働きます。
作家を兼ねる役者、という役を演じた高木充子の困り切った感じ、しかし前向きに題材に食らいついていく雰囲気がカッコイイ。
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