【芝居】「スーサイド・イズ・ペインレス」ヤリナゲ
2015.3.29 17:30 [CoRich]
29日まで王子小劇場。
大学の後輩の女性に久し振りに会った。要らなくなった炊飯器を渡すためだったが、なぜ要らなくなったのか訊かれて思い出す日々。
男が書いていた芝居は、その男の日々を描いたもので、大学のサークルの話、卒業して非常勤で勤める学校の話、劇団を作って上演する話。
同棲していた彼女は、そのところどころに現れる後輩の女のことが気に障る。
現代口語演劇かつチェル風味な序盤。何となくなよなよと始まった雰囲気。 ある程度の距離を保ちつつ、しかしずっと見ていた後輩のことを描く男。恋人はそれを読んで気に障る気持ち。後輩の女性を複数の女優が入れ替わり立ち替わり演じるという体裁なのは、男から見えていたさまざまな女の横顔や雰囲気ということかと思ってみていると、終幕近くになってそのたくらみが明らかになります。つまりは時間軸の何点かの同一人物が一堂に会するのです。 そういう意味ではトープレの「IN HER TWENTIES」 (1, 2) の雰囲気だけれど、終盤で一気に見せる効果と、それとは別に、男の恋人と語らせるというのが新鮮 な見せ方。その男が「盛った」話を一斉に暴露して非難するという爆発力の一点は見ていて本当に楽しいのです。
物語の芯になっているのはこの「三人」の関係、しかもそれは作家にとっての世界の見え方だし作家自身の何かが混じっているように思います。それはもしかしたら、自分を切り売りする物語の作り方かもしれないのだけれど、今この瞬間に彼にとって描きたいこと、なのでしょう。
たとえば非常勤の勤務先での英語ネイティブの授業がまったく成立しない感じとか、大学の施設でろうそくの火を上演に使うことを巡り細かいことをネチネチと話し合うどこか不毛というか、しかし大切な規律の話だったり、あるいは 他の学校での面接や劇団の面接など芯となる三人の物語とは関係のない枝葉もめいっぱい。この枝葉をどう考えるかは、普段のアタシならばあっさりと切って捨てて欲しいと思うところなのだけれど、シチュエーションだったり会話の端々にどこか魅力もあったりしてばっさりと切って落とすには少々惜しい萌芽を感じるのです。
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