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2015.04.19

【芝居】「長井古種 日月」あやめ十八番

2015.4.12 18:00 [CoRich]

その街には教会があり、厳しい戒律のもと人々が暮らしていた。その中の一軒の家の父親は宇宙飛行士を目指していたが突然の難病で立てなくなったが、教会は戒律を盾にこの街から出て行くことを拒んだため宇宙への夢は諦めざるをえなかった。父親は子供たちに地動説や万有引力を教えたが、この街の学校では地球は宇宙の中心であり、地面にモノが落ちるのはそこが楽園だからと教えられていた。双子の息子たちは父親を信じていた。
時間が経ち双子の一人は教師になって天動説を教えている。もう一人は何もしないまま怪物たちに若者が立ち向かう映画のビデオテープを繰り返し観ている。母親は幼い妹を連れて毎日自転と逆方向に歩き続けて年をとらない。何も変わらない日々に見えたが。 舞台奥に楽隊、舞台中程に二台のオープンリール、上方にキャットウオークのようなもうひとつのステージ。教会の街で反抗する家族、教会、モンスターと闘う若者たちの映画、家族に拾われたウサギ、宇宙人たち、後日のこの街へのバスツアーといういくつかの場面を切り替えながら進む物語。

決して上手な語り口ではないと思います。少々不親切なぐらいな時間軸の入れ替え、確かに効果は生んでいるけれど楽隊やダンス、さまざまな工夫。唐突に見える映画の話や宇宙人たちの話。役者が多いのも、正直にいえば少なくとも序盤では決してプラスではありません。 多くの要素を詰め込んだ結果、全体にごちゃごちゃした感じになっているのは惜しい。たとえば遊◎機械や自由劇場のそれに近しい雰囲気もあるけれど、表に現れる物語はもっと複雑なので整理したいところ。が、それは終盤に至り、するすると物語がまとまっていくダイナミズムさに驚きます。くっきりと浮かび上がる力強さがあって、印象的です。もう一回整理されたの観たいなぁ。でもこのパワフルな猥雑さも惜しい、と、まあ何を云ってるか判らなくなるアタシなのです。

牧師を演じた和知龍範はヒールで居続けるのは珍しいけれど凄みすらあって印象的に。 街へ出た男を演じた熊野善啓は、ある種のへなちょこさが得意技なのだけれどそれを封印しつつ、しっかりとした大人の男をきちんと描きます。バスガイドを演じた大森茉利子はフラットな表情の奥に隠された怖さ。女性教員を演じた金子侑加はドジっ子で笑わせ客席を引っ張りつつ、一途さを支えて見応え。

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