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2015.04.25

【芝居】「あの子の飴玉」だるめしあん

2015.4.18 19:30 [CoRich]

母親は元AV女優で今は女性の為のポルノショップを経営し著作も多くなっている。長女は地味な書店員だが「伝説のヤリマン」とまで呼ばれているが実は処女を捨てられず、BLに浸りきり巨大掲示板にも。童貞処女のための会員制ネットサービスに参加するも行きがかり上本当のことをいえない。次女は声優だが有名な母親のイメージの影響が強く芽が出なかったが、親友の声優とともに処女であることを売りにしたアイドルデュオを結成して売れる。が、実は酔うと好みの男を口説いて寝てしまう性癖があった。

処女・童貞・いわゆるヤリまん、性的趣向というよりは、パーソナリティとたまたまの境遇の組み合わせによって、そうなってしまったという境遇。若ければ単に速い遅いだけのことかもしれないけれど年齢が進めば進んだだけ「拗らせて」いっていて、ほんとうのことは言いづらくて、他からどう見られているかに引きずられたり、でもそれとは違うと思ったりして自分の実体との落差になやむこと。 性的なことを軸に描いているためにその部分がことさらに目立つけれど、ほんとうのワタシとヒトから見えるワタシの落差、みたいなとらえ方をすると性的な話にかぎらず、幅広く感じ取れる話だなと思ったりもします。

男女をフラットに、というか対等に描いている気がします。舞台じたいは基本的には女性の登場人物は重層的で深みがありつつ、男性はちょっと薄いというかフラットか、あるいは中二的な造型。アンバランスにもみえるけれど、男性をみなフラットな基準点として描くことで、その基準点からどういう立ち位置に女性たちが立っているか、という描き方に思えます。そう考えると、男性のキャラクタをそれほど強く押し出さないということにも合点が行くのです。 バラバラな人々がバラバラな主張をするけれど、それぞれの主張に納得できないものがなくて、それぞれの理由には納得できるような説得力を感じるのです。説明のコマというわけでもなく、そう考えて生きている人がいる、ということの強度は役者の力によって支えられているし、無駄な役が居ないわりに、短い時間にきっちりと物語を運ぶ作家のちから。

長女を演じた中谷弥生はコメディエンヌという役は本当に楽しく。怒鳴りつけてみたり、時に恥ずかしくなったりというダイナミックレンジの広がりが印象的。 書店員の彼女を演じた直江里美は、可愛らしく、一歩引いている役柄、今作においては強く押し出さない女性、という意味で目立ちます。 ポルノを観ない男を演じたバブルムラマツ、飛び道具のような描かれ方だけれど、中だれせずにしっかり物語を転がす推進力。

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