【芝居】「さよなら、三上くん」monophonic orchestra (望郷編)
2015.4.18 13:30 [CoRich]
22日までAPOCシアター。90分。
文化祭が開催されなくなって6年経った高校。元生徒会長が仕事の仕上げを狙って文化祭の復活を目論み、生徒から代表を選んで委員会を立ち上げる。そもそも開催されなくなった理由ももう知られておらず、当時の教職員も口を開かない。
教師の一人の定年退職のための会が開かれており、卒業生が出入りしている。委員会はそのうちの一人を呼び込んで話を聞こうとするが、それは若い女性教師の同級生だった。
6年前を描くもう一本の物語と対になっている物語。あたしはもう一本を見ていないので、6年前にあった出来事が徐々に解き明かされていくような見え方になっています。不正の温床だったことを見逃せなかった一人が正義感で突っ走った結果に巻き添えのように起きた出来事。
おそらくはもう一本の方が先に作られているのでしょう。文化祭の復活を物語のベースにしつつも、徐々に解き明かされた結果、この学校を去った三上君を巡る物語に着地します。6年前を知らない生徒たちと同様、観客には徐々に6年前の出来事を解き明かされていきます。ところが、じっさいのところ文化祭をめぐるさまざまは、前半わりと主軸に見えた課題設定が終盤に至り一応の決着をみせはするものの、どこか物語の背景に引っ込んでしまった感じがあってちょっと惜しい感じがあります。 二本立てというのも楽しいけれど、一本で巧く描き出す方法がありそうだ、というのはまあコマ不足でもう一本が観られなかった悔し紛れですが。
女性教師を演じた渡邉とかげは、わだかまり続けてきた人物を丁寧に、そして抑制されたフラットな造型で描いていて、実はいままでもっとも印象的。 出落ちっぽく現れるOBを演じた中田麦平はしかし、物語を解き明かすキーパーソンをしっかり。元生徒会長を演じた伊藤安那は可愛らしいメガネっ娘、さらに猪突猛進感じすらするテンションが楽しいけれど、物語をしっかりと転がします。
学校という場所の話だからからなのか、どこか青年団の「北限の猿」( 1, 2) や「カガクするココロ」(1)を思い出したアタシです。 そういう語り口の会話劇というところが似てるのかなとも思いつつ、でも同意してくれるヒトはあまり居なさそうですが。
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