【芝居】「神奈川県庁本庁舎大会議場短編演劇集vol.2」もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡
2015.4.19 15:30 [CoRich]
神奈川県庁本庁舎、別名キングの大会議場を使った企画公演、神奈川県が進める政策、マグカル(マグネットカルチャー)の一環。 日曜夕方の回は155分。19日まで。前回は県庁公開のコースになっていて混乱していましたが、今回は会場を見学コースから外す配慮がありました。
メドレー含み9曲のダンス。横浜マリンロケット「GALAXY OF DANCE STAR」
共学校に入ったはずなのに女子に一度も会わないまま三年になってしまった男子高校生たちは教師に詰め寄る。女子はどこに居るんですか。theater 045 syndicate
「音」(作:平塚直隆、吉村公佑)
外国船員相手のダンスホール、ダンサーと呼ばれる女たちが男を誘う。もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡「ウキヨホテル」(作:河田唱子、演出:笹浦暢大)
県庁舎の突端、デザイン画ではあった海を向く観音像、デザイナーの初恋の想い。もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡「黎明の少年」(作:河田唱子、演出:笹浦暢大)(1)
大会議場に舞台、コの字型に囲むはパイプ椅子を平置きですが、ほぼ満員の千穐楽。
「GALAXY〜」はダンスショーのある横浜駅前の飲食店のキャストによる公演。ほぼ30分、踊りっぱなしでメドレーを含む9曲。スペースファンタジー風あり、サラリーマン風、艶やかな色街風味、ストリート、ロングドレスなバラード風味などほんとうに盛りだくさん。早替えしつつ、しかもばっちり踊りきります。いわゆる芸術なダンスではないけれど、自己表現のためではなく、木戸銭を貰ってエンタテインメントを提供するという職人の気楽な面白さ。
「音」は、共学校なのに女子に会わないまま3年生になってしまったという問題点の設定がともかく見事。ほぼ叫びっぱなし、女子を見せろと迫る生徒と詰め寄られる教師をあの手この手で繰り返して笑いを積み重ねます。事態を解決するかに見えた風紀委員も生徒側になって一緒に騒いだり、あるいは女子っぽいもう一人が加わったり。女子が好きなのは歌だから、歌えば現れる、というわりと無茶な目標を設定するけれど、その着地点はハンドベル的に一人一音で天国と地獄(運動会の徒競走でかかるあれ)を歌い上げてそこで幕。実際のところ、最初にあったはずの目標である女子に会いたいなんてのはは、実はほっぽり出しているのだけれど、生身の、決して若くはない役者がこれだけ頑張っているのを観ていると、もうね、それでいい、と思っちゃうのです。
もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡の二本は、横浜という場所に対しての物語。
「ウキヨ〜」はいわゆる売春宿の通称・チャブ屋(wikipedia)を描きます。実在したキヨホテル、に似せた名前のタイトルに。この会議場の重厚でゴシックな雰囲気を背景に、きっちりマイクも仕込んでしっかりミュージカルを歌い上げます。前半の二本がある意味パワーで押していて、そのあとにしっとり、しっぽりな物語というのは決して有利ではありません。短編という枠組みの中では、物語を運ぶのが遅くなりがちなミュージカルという形式なのもちょっと厳しくて、そういう人々が居た、そういう場所がありました、ということを描くのが精一杯、と思うのです。
もう一本は一回目から引き続きの再演。この県庁舎本庁舎の塔端の元々のデザインには観音を模した造型が施されるはずだった、ということからの作家の豊かな想像の物語。優秀な建築デザイナだった★★、別れることになった奔放な女、海の向こうに居る彼女が戻ってきたときに出迎えられるように、というのも、キング・ジャック・クイーンは元々は海から見える場所にあった特徴的な三つの建物だったのだ、という背景を重ね合わせてこの場所だから、この場所に敬意を払いつつ、想像していくというちから。 日本の国の青春時代、さまざまなに芽吹いたあの時代、そこから急速に引き締めの時代に入る、という時代の認識は、何か昨今の私たちの気持ちに重なってなりません。
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