【芝居】「クズになれない」小西耕一ひとり芝居
2015.3.22 15:00 [CoRich]
一人芝居を銘打ちつつ、一人芝居じゃなくなってたけれど、きちんと一人芝居で描く90分。22日までRAFT。
公演が終わって、珍しく主演もしていて盛り上がる男、打ち上げてうっかり寝てしまって気になっていた相手女優はろくに話もできないまま、終電で帰ってしまう。記憶は無いけれど翌朝目覚めたのは別の共演女優の家だったが、男には女優でもある恋人も居る。次の一人芝居の台本がまったくかけないまま、再び一夜を伴にした女優の家に入り浸る男だが、芝居のネタにと思って軽い気持ちで訪ねた家族の話は思いの外重く、男は自分の父親に離婚して以来会ってないことを思い出す。
久々の一人芝居のようです。前回客演していた公演(1)の打ち上げを思わせる宴席で始まる物語。王子小劇場を思わせるJRと南北線とか、主役級の扱いのことだったり。座組の中にいいと思う女優が居ること、あるいはまったくそんな気はないはずで彼女も居るのにつまみ食いされちゃう感じとか。愛がどうとかよりは、30過ぎなのに女の子とやりたい気持ち、彼女が居ても別の娘とやっちゃいたい感じ、まだこの感じから抜けきれないヤバさを自覚しつつ、でも、その気持ちに流されちゃうというあたりが前半。
一方で作家としてあるいは役者としていい役を演じられた舞台を観て欲しい自己顕示の気持ち、それは母親に対しても恋人に対しても隠すことなくめいっぱいなのに、それが満たされないことの小さな不満。 つまみ食いされたような関係なのに、女のアンタッチャブルな部分に触れてしまったことによって物語は大きく旋回します。リストカットした女を切迫して描きながらも、物語の着地点は、自分と母親と兄弟たちを捨てて浮気に走って離婚した父親の現在に向かうのです。今では独り身で幸せになれないままに居ること、どこか浮気っぽい性癖、20年も会っていない父親に似てきた自分の未来が透け見えるような終盤。
自分の不十分なところ、あるいはままならないところの責任というか理由を理不尽に親になすりつけたい気持ち。彼よりはずいぶん年齢を重ねたアタシだけれど、ままならなさ、なにも成し遂げられていない感覚はその分あたしにはもっと深刻で切実なんだけど、まあそれはアタシの話ですね。
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