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2015.03.23

【芝居】「ここにある真空」浮世企画

2015.3.14 18:00 [CoRich]

15日まで駅前劇場。115分。

父親の精神科医院を引き継ぎ忙しい日々を送る女医。 同じく医者である夫と娘がいるが、家事はひとりでがんばっていて疲れ気味でもある。ある日、父親の不倫で生まれた腹違いの弟だと名乗る男が現れる。毅然とした態度をとりつつも、どこかひっかかっている。

当日パンフによれば、叔母である精神科医の実体験や心境を一つの核にして物語をつくりあげたようです。 アタシはどこか理不尽な境遇でも生きる女を巡るものがたり、と読みました。きっちり仕事をしていて忙しいのに、夫も娘も手伝ってくれるどころか、その想いを理解してくれそうにない家庭。仕事場は慕ってくれて支えてくれるスタッフたちがいるし、先代からの患者も居たりしてうまく回っている日々なのに、 ある日やってきた男は尊敬していた父親を、浮気とか腹違いという単語によってかき回される波乱。

理不尽な境遇の女たちという意味ではもうひとつ、家族とか育児にまつわる悩みを吐露する女性の患者が登場します。やたらにポジティブな夫、もう治ってるとか勝手に医者に行かないようにしてしまうなどおもしろそうなネタがたくさんなのだけれど、ここだけが物語の中で孤立してしまってる感じはあってもったいない。

正直に言うと、女たちを核に描きながらも、作家のねらった着地点がどこなのか、いまひとつぴんとこなくて戸惑うアタシです。家族たちにキレている女医だけれど、ワタシにも悪いことがあったとつぶやくようにして、折れてしまうあたり、理不尽とも思える現状を諦め、受け入れてしまうように読みとれて、作家の意図を今一つつかみかねるのです。それが現実なのだ、諦めるということなのかな、とも思うのですが。

男気あふれる女医を演じた片岡礼子は実にかっこいいい。女性の患者を演じた四浦麻希は少女っぽさが印象を残す役者だったけれど、すっかり大人になった女性を好演。夫を演じた竹内健史のうざったい高テンションは嫌悪感めいっぱいだけれど、印象は強烈。 先代からの患者を演じた鈴木歩己も、物語を背負うという意味では父親のことだけなのは確かにもったいないけれど、中華料理を食べたという思い出語りのシーンの味わいがいい。

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