【芝居】「紅白旗合戦」Aga-risk Entertainment
2015.3.22 18:30 [CoRich]
29日までサンモールスタジオ。115分。
自由が校風の高校。生徒のアンケートによって作られ一度は職員会議も通った卒業式の式次第が、式の1週間前になり校長から新たな式次第が示された。校長が要求しているのは、国歌斉唱を卒業式全員で行うこと、国旗を講堂正面に掲げることだった。納得のいかない生徒側は、眠っていた取り決めである教師・生徒の代表者による連絡協議会の開催で合意を探ろうとする。
国旗と国家と卒業式を巡るものがたり。演劇ではイデオロギーを強く匂わせる二兎社・「歌わせたい男たち」 (1) が広く知られますが、同じ問題を扱いつつも、印象はずいぶんことなります。命じてる校長だってその理不尽を感じているけれど、誰に対してもずっとその立場(ロール、といってもいいいかもしれません)崩すことなく居続けているという二面性をもっている、という不思議な雰囲気を感じたアタシです。
意見は対立してるけれど、人々のありかたはシンプルでは無く、裏表というか個人と立場というか、かなり複雑に感じます。大人たちも生徒たちもイデオロギーをそれぞれに持っていても、主張することはそれとは違ったりもするです。生徒たちの自由すぎるところを苦々しく思っているし勝つためにあれこれ画策したりしても筋を通すべきところは通す教師だったり、あるいは「落としどころ」を探すために少々無理筋だって探そうとする人々。理不尽かもしれないレギュレーションの中でできることを探してなんとか合意点をみつけるというプロセス、ほんとうに民主主義のプロセスを見ているようなのです。
そうなのです。イデオロギーの主張の話ではありません。 生徒たちも国旗国家に対しての反対をしているわけではなくて、生徒たちのアンケートによって作られ、一度は生徒教師双方が合意した式次第を、プロセスを無視して頭ごなしに替えられてしまうことへの怒りなのです。声高に非難することはないけれど、「プロセスが否定される」という、法治国家のありかたの根本が否定されることの怒りやその向こうに透けて見える怖さが描かれているように思うのです。 だからこそ、 何かの一点を対立という構造の中で探していく人々、ゲームのようであるけれど、そこにはきちんと互いの敬意があって、そのプロセスがするすると合意に至ると、アタシ不覚にも泣いてしまうのです。
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