【芝居】「「紙風船」から90年。岸田國士の今」カトリ企画&iaku 合同企画
2015.3.14 15:00 [CoRich]
岸田國士の代表作「紙風船」の発表から90年という立ち位置で2本立て。 15日まで古民家asagoro。そのあと21日まで大阪、22日と23日は金沢の2カ所での公演を予定しています。 10分の休憩を挟み全体で90分ほど。青空文庫に載っているようなパブリックドメインの作品の上演はもっと活発になっていい切り口だと思います。
結婚してずいぶんな時間が経った夫婦。新婚当時4年のフランス留学をしていた夫だったが、2年目に渡仏しようとした妻を夫は諦めさせていた。久しぶりに留学の時の友人が日本を訪れた。妻はあのとき夫には女がいたことを確信していたことを、再び思うようになる。「ある夫婦」(
原案:岸田國士「ある夫婦の歴史」(青空文庫)より)(カトリ企画)
逃げ込んだゴキブリ退治を部屋をぐるぐるまわりながらする母娘。娘の恋人はドイツに行くことが決まっていて、娘は一緒に行くか迷っている。母親にも相談しているが、娘の幸せは願っているが、全面的な賛成をできないのは、ただ遠くに行くという不安ばかりではなくて。
「あたしら葉桜」(岸田國士「葉桜」(青空文庫)より)(iaku)
「ある夫婦」は少し長めの小説から、夫の隠していたこと、その行き場のない妻の想いという関係を中心に再構成。話にあがるフランス人や妻の友人を巡るさまざまが小説ではもう少し描き込まれているのだけれど、今作は夫婦の話にフォーカスしています。何か内に秘めたこと、証拠はないけれど確信していること、あるいはふと目にした配偶者の浮気心にみえる証拠。結婚して一緒に暮らしていても、その二人に確固たるものがないのだ、という絶望的な気持ちがあるということがリアルなモノか、というのは独り者のアタシには正直わかりませんが(泣)。
元々それなりのボリューム(中編なのかなぁ...基準が判らなくなってる)がある原作をある視点で編集というか再構成するという方針は見えるし、メリハリをつけるという作戦は正しいと思いますが、終演後に青空文庫で読んだアタシにとって、正直に云えば舞台に現れない二人を噂話としてしか描くしかないならばいっそばっさり切り捨ててしまってもいいんじゃないか、と無責任な感想。
「葉桜」は煮え切らない見合い相手に断るかどうかを迷っている娘と母をめぐるごく短い戯曲を全面的にリライト。なんか、濃密な凄い一本に仕上がっています。
序盤は、ゴキブリ(をドイツ語で云ってたりしますが)が和室の真ん中に伏せてある雑誌の中にいるかもしれない、にヤキモキする母娘の関西弁の会話。徐々に友達っぽい関係な母娘とか、ドイツに渡航するかどうかの目下の悩み、あるいは恋人に対する母親の想いなどが徐々に、しかし効果的に開示される時間の流れで観ているということの観客の幸せ。
正直に云えば、元々の「葉桜」がなんか唐突な感じでまだ消化切れていないアタシです。が、あの時代の結婚を巡る母と娘のままならないことに対する会話を、まったく別の現代のシチュエーションに切り替えて、 結婚とか恋人ということについて、ままならないことをきっちり描き出しているのです。
iakuはアタシが観たものについては今のところ (1, 2, 3) ハズレが無いというのは、iakuが凄いのか、あるいはアタシがたまたまアタリをひいてるのか。
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