【芝居】「劇王 天下統一大会2015」劇王
2015.2.28 19:00 [CoRich]
三人までの役者、20分以内、転換も短時間などいくつかのレギュレーションで本編120分ほど、そのあとの投票・講評・結果発表が60分ほど。
夏のウサギ小屋を掃除している男性教諭たち。ウサギの中も一羽だけメスであるのと同じように、この学校にも女性教諭は独りしかおらず、生物教師がつきあっているのではないかと疑っている。「いきものがたり」(INAGO-DX) ガリ・姫・デブの三体の地蔵。ある雪の日に傘をかけてくれた老人にお礼をするかどうかを話し合うことにする。 「戯れ」(SOUTHERN COMFORT) 女が帰宅したら若い女が忍び込んでいた。取り押さえ縛り上げた女は、未来からやってきた自分の娘なのだという。若い男を酔っぱらわせてはかつぎ込んでできた子供だというが、その部屋の主は男の陰もまったくなくて。「都会の女」(もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡) 母親の葬式の翌日。東京に出ている次男は忙しく明日には戻る予定だ。長女は家をでているユタだが、この家に住んでいるのは、亡くなった長男の嫁とその息子だ。他県から嫁いできた長男の嫁は、統々銘★など、この土地のしきたりや親戚づきあいをするのはもう嫌だというし、次男も戻ってくる気はない。長女は、遺産の金はいらないが、浜辺の使われていない土地がほしいのだという。「@オキナワ」 (@沖縄向上委員会)
広島のINAGO-DXは、わりとコントの雰囲気。男三人が一人しかいない(が、登場しない)女性教師にむらむらしながら会話する、という体裁ですすみます。芝居の核となっているのは、ウサギ世話を進んでする生物教師、一匹しかいないメスをもってかえってるということを、女性教師とつき合ってると勘違いする流れ。互いに隠している元カレ、現カレという三角形も構造としては面白いけれど、この構造が出てくるのはほぼ終幕の段階で、ちょっともったいない。
東北のSOUTHERN COMFORT は、いわゆる「かさ地蔵」の物語を核にしつつ、お礼するかどうかを議論するという構造。いわゆる議論の芝居という意味で、たとえば青年団の忠臣蔵 (1, 2, 3, 4) のように、くるくると三人の意見が変わっていくということが期待されるというのが審査員の一致した意見。が、実際のところ、坂がいや、お礼を期待させるのはよくない、あるいは詐欺のターゲットになる、という意見で、それもわりと同じところをぐるぐると回るばかりで関係が変わらない物語。最初の発想のすごさがあるだけに、惜しいなと思うのです。
神奈川のもじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡は、予選Cでは唯一の二人芝居。未来から来たと名乗る女を亀甲縛りに椅子に縛り上げたところ。なぜかヒョウ柄の部屋着というのは出落ち感。部屋のあちこちに酒と物騒なものばかり。ナイフだったりヤリだたり、はてはいわゆる電マ。女の一人暮らし、不倫していたりして、恨みをため込んでいる女の気持ちがその数々の道具になっている感じ。ほだされ信じるように見せて、終幕であっさり都会の女なめるな、という幕切れも見事です。
沖縄の@沖縄向上委員会は、母親の葬儀に集まった姉弟と、長男の嫁という構成の物語。いわゆる葬式の場の芝居として始まります。トートーメー(統々銘)を受け継ぐことであまりにも大変な日常になっていること、すぐ東京に戻らなきゃな次男だったり。それを中心に物語が進むかと思うけれど、この家と現金の遺産は二人でわけて、長女が浜辺近くのなにもない土地を貰いたい、というあたりからぐるりと物語の雰囲気がかわります。基地がある、基地が移転してくるという計画。基地が嫌だと思いながらも、莫大な収入が見込まれること。この土地ゆえのことをきっちりコンパクトに書き込むのもすごいし、前半と後半で物語の印象ががらりと変わるのも見事。
観客の投票と審査員の点数によって決勝進出を決めるというシステム。かならずしもアタシは好きなシステムではないけれど、お祭りな楽しさ。観客だけでなくて、審査員を置くというのはプラスで、丁々発止の会話が楽しい。アタシが投票したのは沖縄代表で、神奈川だって基地があるのだからここで選ばなくてどうする、という気持ちだったのです。このブロックで勝ち上がったのは神奈川代表。地元は当然観客も多いわけで、そういう意味で投票を選考基準にする難しさも感じるのです。
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