【芝居】「T OF N」エビス駅前バーP
2015.2.18 21:00 [CoRich]
Mrs.fictions の中嶋康太による短編を三つ、mielの金崎敬江よる演出の 70分。平日21時開演が嬉しい。千穐楽となる19日21時の回では演出家を交えた役者のトークショーを設定。
「東京へつれてって」
(1)
「天使なんかじゃないもんで」
(1)
「お父さんは若年性健忘症」
(1,
2)
「東京〜」は 上京するホームレスの男を追いかけていこうとするキャバ嬢の元同級生。何年も前の卒業式のラブレターが完璧すぎて、小説家志望だった男の夢を無惨に打ち砕いてホームレスになってるという構造が見事な物語はそのままに。 元々の二人芝居に対して、女優をもう一人追加。現実にいる女の内面を外に出して、心の声、というパート。おそらく台詞は追加せず、女の台詞を部分的に、ニュアンスを替えて発声させたり、現実の表情とは別の内面の表情を見せるのは、わかりやすくしすぎという気がしないでもありませんが、でも間違いなく効果的ではあります。バーカウンターを駅のベンチに見立てて座るというも新鮮。トークショーによればそのために補強してるとか。
「天使〜」は 流されてしまった土地の元ボーリング場を訪れた追われるヤクザ、東京から逃げてきてこの土地で一人、自己流すぎる祈りを捧げる女。ただ津波に流された場所というわけではなく、居続けること自体が死を匂わせる場所なのは、まさにあのときの日本だから描ける一本なのだけれど、それが3年以上経ったいまでもあまり変わっていないということに愕然としたりもするアタシです。 あきらかに死に近づいているけれど、星を見上げてしまう三人。この星を見上げる終幕は物語全体を包み、全体の終幕につなぐ構成。
つい最近も上演された「健忘症」、もともとはその「バブルな格好」の場違い感も笑いどころだったりもするのだけれど、その衣装を元々はない台詞(ト書きかもしれないけれど)で説明してしまったのはやや残念な感じ。演劇の嘘を信じてもいいんじゃないかなと思ったりするのは、元々を知ってるからか。シンプルにやろう、という心意気やよし。
一本目の台詞を二本目三本目に滑り込ませるのは、三本の物語を地続きにしようとしたということか。無理矢理ものがたりでつなげようとしなかったのは正解で、その雰囲気を最小限に編み上げるようで楽しい。
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