【芝居】「ワンダーランド」Straw&Berry
2015.2.8 19:30 [CoRich]
11日まで王子小劇場。125分。前半公演には「おまけ演劇」がついています。
小説を書いている男。彼女にフられた直後、結婚を決めた友人が高校の時の文化祭のバンドで一緒だった女性を呼ぶ。女は発表された小説を読んでいて面白かったといい、つきあい始める。 小説を書いている男。デリヘルを呼ぶがうまくできない。そのドライバーは高校の同級生で、そのつながりで高校の同級生の女性と再会する。小説を読んでいて、しかも二人ともほぼ恋愛経験ゼロだった。 ある一つの結末は、幸せな結婚。ある一つの結末はある事件を知らせるラジオ。
小説を書いている男の恋愛模様な物語と、小説の中の出来事らしい男の恋愛模様な物語。どちらがどちらになっているかは明示されません。どちらが現実世界でもどちらが虚構の世界の出来事だとも思えるように、表裏だけれどリバーシブルな関係で、登場人物は名前が同じ音になっています。「バンド」な関係で明るくて順調そのものにみえるカップルと、好きあっているけれどEDのまま愛しあえないカップルを丁寧に交互に描くのです。
二つの裏表で並行して描かれるものがたりにもう一工夫。劇中登場人が「エピローグ」を先に読んじゃうことに呼応するように「ごく短い結末」を二つ途中に挟み、どちらの物語がどちらに着地するかをねじって見せることで効果を生みます。正直にいえば、そのたくらみ自体はエピローグが途中に挟まる時点でわりと気づいてしまいがちということはあるけれど、その驚きがなくても、構造として対比されていて綺麗に着地するという物語の進み方は美しく、印象に残るのです。
男を演じた小西耕一、池亀三太は二人とも他劇団の作演なのは偶然か意図したものか。どちらも人物を丁寧に造型していきます。彼女を演じる二人の女優がちょっと似た感じなのも、作家・河西裕介から見えた彼女という雰囲気。終幕でもうひとつコミカルに描かれる外皮を作り、そこに別の彼女像を展開するのも切実な気持ちの現れに見えて切ないのです。
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