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2015.02.21

【芝居】「雲の脂」ホエイ

2015.2.15 11:00 [CoRich]

16日までアトリエ春風舎。105分。

海沿いにある砂原稲荷。埼玉での職を失い最近隣町に引っ越してきた夫婦が両親の遺品整理で見つかった小さなお稲荷様の引き取りを依頼しに訪れるが、そこには稲荷ブローカーなる男たちが出入りしていて、お祓いをしないと家から出してはいけないのだといわれ渋々引き下がる。
長男は同居しているがこの稲荷の後を継がず、叔母が継ぐようになってから、後継者の居なくなった鳥居や仏像、はては自治体が展示できなくなった反戦資料や広島の千羽鶴なども持ち込んで敷地内に捨てることでなんとか生活をしている。護岸工事が途中で放棄されて海岸の浸食は止まらず、海側にあった鳥居や狛犬が日々倒れている。

仕事が減りそとからの浸食を受け、親日な外国人も出国していくようになったり、不況には強いはずの神社が倒産したり後継者が居なくなり荒れている国。そのくせ反戦資料の展示ができなくなったりと、私たちの今の国の雰囲気をぎゅっと濃縮して見せている感じ。規模も経済ももしかしたら文化もモラルも国土すらも削られ縮小していく雰囲気。物語では明確には語られてはいないけれど、きっと政治はまだ成長期の夢を捨てられないままだし、戦争できる国に向かって突き進んでいるという雰囲気もきっちり織り込んでいて、作家の感じる今の日本の一断面をやや戯画的に、でもその断片はそれぞれあるかもしれないという怖さの説得力。

人が巨大に見えたり、あるいはとても小さく見えたりという不条理っぽい場面が終幕近くにあります。場面の雰囲気というか発想として面白いのだけれど、物語の中でどう解釈していいか、という点では悩ましい。 落語・粗忽長屋が物語に組み込まれ、死んでいる俺をみているのは、というのも思わせぶり。そとからみた日本のすがた、もう瀕死の域に達しているということかと思ったり思わなかったり。

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