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2015.02.13

【芝居】「『Fermat's Last Theorem』(フェルマーの最終定理)」ユニークポイント

2015.2.8 17:00 [CoRich]

8日までシアター711。100分。

ケンブリッジ大学でのワイルズの講義。噂になっているのはフェルマーの最終定理の証明が行われるということ。教室を見渡せる一室には日本人の数学者たちが講義を聞いている東京大学の同級生だった男女三人の二人は結婚し、もう一人はここで研究を続けている。あるいは男女の学生の一人はここに残り、もう一人は迎えにきた恋人と帰国する。

劇中でも語られる通り、もちろんアタシにはまったく理解できない証明の道筋。開演直後の三平方の定理ぐらいはわかったとしても、そのあと急速に難解さが増していく台詞はもちろん観客にわかることを期待してはいないけれど、専門家の高度な会話というぐらいには説得力があって、なるほど数学教師の作家の説得力。

中盤からは、そのベースをもつ人々の話として、優秀な数学者だったのに結婚して仕事を辞めることになった女性、今でもトップランナーの夫、結婚しないままに研究を続けている三人の同級生の物語に移ります。もう一つの学生三人にとっては未来の物語という構造も含めて、このあたり正直に云えば、数学の話でなくても成立する話で、そういう意味でなにも(アタシが不得意な)数学じゃなくてもいいじゃねぇか、と思うのはまあアタシの個人的な感想です。ベースを共有する人々、時間がたちさまざまな経験を経てまた楽しい夢のような時間がここにある、ということの素敵さはある意味ファンタジーなのだけれど、それはあるかもしれない、という説得力があるのです。

帰国したばかりの洪明花が演じる結婚していない研究者が圧巻のちから。ちょっと不思議な口調で、必ずしも器用に生きてこなかったという人物が透け見えるすごさ。わりと同じく長で続く芝居のなかでスパイスのように緩急がつくのもワタシには嬉しい。妻を演じた平佐喜子は前半の優秀な数学者、中盤の妻、終盤で所在なさげであってもまた数学者に戻るというダイナミックレンジの広さがいい。夫を演じた古市裕貴はしっかりとトップランナーの雰囲気。

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