【芝居】「ハレノヒ」空想≠カニバル
2015.1.12 15:30 [CoRich]
わりと名の知られたカレーとスパイスの洋食店を舞台に貸しきりで公演。昼は甘味、夜はプレートとドリンクとともに提供して、食事しながらという趣向。チケット代1500円に含まれていて、ちゃんとした料理 (1, 2)が出てくるのは凄い。60分。12日まで、「けんすけ」 洋食店の一日、二つと少しの物語。 (1)高校生のバイトで入ってる男だが、今日は客として女性と待ち合わせている。ずいぶん年上の女だが、男は店長に、好意を寄せた同級生の姉を攻略したいので手伝ってほしいという。女は店長を紹介してくれるのかと乗り気だが、実は男はその年上の女のことが好きなのだがいいだせない。 (2)毎朝コンビニでコーヒーを買ってくる店長のお気に入りの店員が客として店にやってきた。が、男を連れている。女の招待は宇宙人でもう地球を滅ぼすことに決めたと男に宣告してるのだが、遠目の店長と店員には二人が別れ話をしているように見えていて、チャンスとみた店長は自慢のアイスクリームをサービスして気を引こうと考える。店長に密かに好意を寄せる店員はアイスクリームにこっそりタバスコをかけて女に提供する。 (3)店長はコーヒーを何処で買ってくればいいのかとため息をつく。店員は自分が煎れたコーヒーはどうかと提案するが、コーヒーが飲めない店員のために、閉店後、店員にはウイスキー、店長自身はコーヒーを一緒に飲もう、と提案する。
全体で60分ぐらいにコンパクトにまとめられた物語。
一本目は ちょっとお調子者の店長が仕切る小さな店。高校生バイトの男の子と大人の女性の恋愛ものがたり。精一杯の気持ちで呼び出したのはいいけれど、肝心の彼女の興味はほかに向いちゃってる、からのハッピーエンド。そもそもファンだったなんていうのはファンタジーが過ぎるかもしれないけれど、コンパクトな物語の中ではこういう素敵な奇跡というのは以外に説得力になったりするのもまた事実で。
二本目もまた、勘違いの笑いを推進力にしつつ、勝手な勘違いで地球が救われちゃう、映画・ワールズエンド(未見だけど)のようなコメディ仕立て。絶体絶命を救ったのは男への好意のあまりに店員がとった無茶な腹いせないたずらというのも、突拍子もないわりにちゃんと飲食店という舞台に立脚してゆるいつながりで作っているバランスもいい。
三本目、実らないかに思えた恋愛が成就する予兆なオープンエンドな終幕もまたハッピーエンド。
この店、 わりときっちり人気のある飲食店で、松本に引っ越したばかりの頃に店に行ったら、ときどき街コンというか婚活パーティを(ホンモノの)店長が企画してやってる、なんてことを教えてもらったな、なんてことを思い出しました。そういう意味でも恋するレストランな舞台としてもぴったりな場所。東京ではそう珍しくもない飲食店でのコンパクトな芝居ですが、もともと小劇場の価格の安い松本とはいえたった1500円のチケット代にちゃんとドリンクと開演直前に作った一皿(昼公演はデザート、夜公演は軽食)が付いてくるというのはたいしたもので、店の心意気と相まって素敵な空間を作り出していて、前売り完売というのも頷けるのです。
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