【芝居】「MOON KNIGHT~ある月の夜の物語~」ネオゼネプラス(ネオゼネレイタープロジェクト)
2015.1.24 18:00 [CoRich]
稽古場として使われることの多いベイサイドスタジオ。去年まで相鉄本多劇場で行われていた月イチの「横浜演劇サロン」の会場にもなっています。ここで公演を観るのは初めて。根強い人気を誇る女優・桑名しのぶの東京での最終公演でもあります。85分。25日まで。 どこか山奥にあるらしい屋敷でテーブルをはさみ座る女ふたり。テーブルの駒を動かして「あたり」がでるとダイスを振りそれに応じて地球上のどこかに災害が起きる。この世界の命運を決めるこのゲーム盤に座ろうという野心を持った男たちが訪れる。
ネオゼネが14年前に上演(月の犬ー牧野久美子&松岡洋子)したのだといいます。たしかにしっかりとSFの風味。椅子に座り向かい合う女優二人はほとんど動くことがなく、のんびりした雰囲気の、小さなガッテンネタのような会話を繰り返します。もうとても長い時間ここに居て、会話を楽しんでいる風ではある二人。世界を思いのまま、征服することだって可能なこの場所をねらう男たちだけれど、座ってる側にしてみればきっとそれは拷問にも近い長さでもあって。
この場を去ることは死を意味していて、それは「花になる」という美しい終演。一面のバラが美しいラストシーン、なのだけれど、アタシの拝見した土曜夜の回は、引き落としの幕が引っかかり落ちず、ちょっと残念ではあります。ええ、もちろん、わあって気持ちにはなるのだけれど。
三人を演じ分ける石塚義髙、そう器用な役者ではないけれど、物語を転がす発動機の役割をしっかり。アタシが座った上手側からはがっちり拝見できた桑名しのぶは落ち着いていて、聴き慣れた優しい声の安心感。対する坂内愛はほぼ左肩後方からしか見えないのが残念ではありますが、軽口叩きながら去る終盤がいいのです。執事を演じた吉田萬はずっと見守るという唯一の役の説得力。案内人を演じた今井勝法、まあ前説な役割がむしろ贅沢に楽しい。
普段使われている場所の向かいの部屋での上演。駅前の立地でこの古いビルなので自由が効くという側面はあって、それも町が持つある種の余裕なのだよな、と思います。まあ、終演後にロビーで安く呑めて、(やや頑張って)徒歩で帰れるというアタシの個人的な理由ではあるのですが。でも、場所を創り出していくというのは小劇場の機能の一つだよな、と思う昨今なのです。
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