【芝居】「世界へ Au monde」青年座
2014.12.21 14:00 [CoRich]
アタシは初見のフランスの作家・ジョエル・ポムラによる2004年の作を青年座の60周年記念公演の一本として上演。115分。21日まで青年座劇場。
巨大企業の経営者とその一家が住む家。都心には珍しく緑も多い。長男は父親を助けていて、妊娠している長女は感情を表さない。その夫は野心的で、次女は人気のバラエティショーで司会を務めている。亡くなった三女に瓜二つな養女を迎え、軍から戻ってきた次男でパーティ始まる。そこに、誰も知らない言語を話し、働くでもない家政婦が雇われてきて現れる。
別売りの当日パンフによれば、現代を描き出し、フランス語戯曲としてはトップクラスに面白いのだといいます。なるほど、イマドキの世界の断片を詰め込み、家族という形はあっても、バラバラに生きる人々を描いていて、確かにそれは明快な解のない今の世界を箱庭のように描き出している、ということだろうとは思います。裕福で成功した男とその家族、「三人姉妹」を思わせる不安に思う娘たちには養女が混じり、何をしてるでもないのに雇われている移民の家政婦が不気味な雰囲気を漂わせます。 その混沌や不条理を描き出したいということかもしれないし、なんか面白そうな要素がてんこ盛りな登場人物が揃いますが物語としては少々肩すかしな印象が強く残ります。問題を提起して、見る側の問題として感じ取り考えるということなのだろうけれど、アタシは要素じゃ無くて物語が観たいのだ、正直にいって、芝居でそれを上演しなければならない、という衝動というか意味をいまひとつ理解できないアタシなのです。
思わせぶりで、でもちょっと斜に構えたような描き方で、正直ちょっと鼻持ちならない語り口と感じてしまうアタシですが、それでも2時間弱を飽きずに見られるのは、青年座の役者たちのちから。長女の夫を演じた大家仁志の「意識高い」感じだったり、TVショーの司会者でもある次女を演じた椿真由美の世間と繋がってる感じ、イノセントに見える養女なのに妖しさを醸し出した田上唯もいい。とりわけ、移民の女を演じた松熊つる松の不穏さなのにラテンな雰囲気はもちろん異質感という役どころだけど、目が離せなくなってしまうのです。
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