【芝居】「紫式部ダイアリー」パルコ
2014.11.24 14:00 [CoRich]
30日までパルコ劇場。110分。 そのあと名古屋、福岡、大阪、松本、広島。
文学賞選考の選考員として呼ばれたのは、エッセイストとして成功している清少納言(斉藤由貴)と、新進気鋭の小説家・紫式部(長澤まさみ)だった。
大きなカウンター、ホテルの最上階のバーラウンジという感じ。高い椅子に座るのもやっとで少々イモっぽい雰囲気の清少納言と、颯爽とパソコン抱えて現れる紫式部というアングルで始まる110分一本勝負。それはまるでプロレスの雰囲気でもあります。
ここに居ない別の作家のことを(明日の選考のためとはいえ)あれこれ話をしたり、自分の(文壇での)ポジションを確保するために選評したいとか、 年齢という序列はあれど、面白いといわれてたくさんの仕事をこなし、呼ばれる、ということがポイントになる作家という仕事。劇作家が作家などクリエーターを描くとほとんどろくなものにならない、というのはわりと云われがちだけれど、さすがに三谷幸喜。クリエーターの矜持とか夢とかには目もくれず、後輩の作品なんか気にしない風情でも才能がありそうならきっちりチェックしてるし、万が一芽が出そうなら全力で潰してやる、という嫉妬を物語の原動力に据えて凄みのある二人芝居を作り上げました。
後輩の側だって敬意を持ちつつも、喧嘩を仕掛けることも忘れません。 枕草紙を「あるある」だけと切り捨てその先がみたいといい、でも清少納言側には元気づけたい誰かの存在、という隠し味は年齢を重ねたゆえの厚み。 紫式部が今の私には若い女だからという付加価値というか下駄がはかされているけれど、書いている作品を見てくれていないという不満と不安、清少納言はあっさり千年後の読者に向けて書けば作家が若いとか美しいとかは関係なくなるという返答、何かの問答のよう。
そういう軽快さの奥にあるのは、作家というものの業かなと思うのです。芽が出そうなら潰すし、才能に嫉妬だってするし、先輩を時には馬鹿にするし、でも先輩の言葉に救われることだってあるし、終幕、清少納言が紫式部のパソコンを盗み見て、自分のことを日記(ダイアリー)にどう書いてあるかを呼んで、大笑いし、ちょっと悔しそうな表情をしたりするけれど、何が書いてあるかは明らかにされません。どうとでもとれるエンディングですが、想像にゆだねられて嬉しいなと思うのです。
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