【芝居】「ヒトヒトヒト」キリンバズウカ
2014.11.30 17:00 [CoRich]
年に一度ほどの公演を続けるキリンバズウカの新作。 30日まで。105分。 武蔵野芸能劇場 小劇場。
男女混合のシェアハウスに住んでいる人々。管理人は与えられるときには与えよ、ということを住人たちに薦めている。管理人の親や夫の死因に怪しいところがあると、内偵を薦めている保険会社。住人はもう恋はしないと断言するシンガー、恋しがちな女子、管理人に心酔する男、その彼に恋心を抱く男。 ある日新たな入居希望者の面接の日、住人の兄が尋ねてくる。警官だというが、金・女・暴力を絵に描いたよう。
美人だけれど感情の起伏のない管理人、それに心酔する住人たち、男女混合で恋心の交錯があったりするけれど、バランスが保たれ、ごくおだやかで小さなコミュニティ。そこに突如現れた、あきらかに異分子で暴力的な男がそのコミュニティを破壊するかにみえるけれど、コミュニティを保持しようとする力は思いの外強くて暴走する人々。
終盤近くで語られるのは、夫を亡くして首をつろうとしていた妻である管理人、そこに居合わせた男との突然の共鳴。共鳴したからこの心酔ということなのだろうけれど、どうして共鳴したのか、この二人以外までもが同じように宗教めいたほどのコミュニティになったのはなぜかということは明確に語られている感じではなくて、正直にいえば、唐突な印象がぬぐえません。それでも、 序盤ではイマドキの若者のシェアハウスかとおもわせながらも、終盤にかけて その異常事態すら引き起こしかねない、閉鎖的なコミュニティの姿があらわになっていく歪んだ感じは 一気にみせてしまう圧力のある物語で迫力、役者の魅力もあいまって印象に残るのです。
暴力的で女にも金にも汚い警官である兄を演じた日栄洋祐は珍しいぐらいにヒールを一貫して。 弟を演じた花戸祐介も、序盤で女にモテる感じ、好意を寄せられても冷たい感じは兄弟を感じさせつつ、信じてしまった男の暴走の説得力。冷たい印象の役は珍しいこいけけいこ、それゆえの終盤での感情の爆発が効果的で新しい魅力。女子力高い女を演じた阿久澤菜々は男を寝取り、あるいは男に泣かされな「おんな」全開な造型に凄みすら感じます。もう恋をしないといいながら恋愛体質な女を演じた長井短は、イノセントで素直な造型でかわいらしい。唄もちょっといい。
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