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2014.12.12

【芝居】「Bon Voyage!!」BOCA BoccA

2014.12.6 19:00 [CoRich]

9日までOFFOFFシアター。

若い編集者がバディというテーマの雑誌連載企画を作家に申し込む。作家は堅い小説を書くと思われているが、破天荒でその企画にあたり生前葬をしたいと言い出す。なじみの編集者とともに近所の弟の店を借りて準備をするが、飛び込んできたのは三ヶ月戻ってこなかった妻だった。

タイトルだけではなく、 当日パンフもチケット、台詞の端々にもフランス語がちりばめられています。客席に座る観客も、なんかフランス語教室の話をしてるひとも居たりしてちょっと不思議な雰囲気。

破天荒に見えて妻を深く愛し、全力でぶつかってくることを求める小説家の物語を核にしつつ、いい歳になっても童貞で結婚詐欺に遭う弟や、妻が居るから遠慮していたけれど本当は小説家を支えたい担当編集者の物語を添えています。核となっている物語はごくごく決して力がある話ではないけれど、アングルというか構図はシンプルで美しくカッコイイ。なのに、それを内包する物語全体を見渡すとあれこれがちぐはぐな感じになってしまっているのが残念。とりわけ、読経する坊主が実は日本語の話せないフランス人にテープレコーダー(そう、イマドキ。)だったり、童貞が結婚詐欺に遭う話、その二人がややBL気味の結末、など結果的にそれぞれ点描するだけでバラバラになっていて束ねられて幹になるような効果に至らないのが惜しい。

小説家を演じた安東桂吾は軽薄に見えつつも、全力で妻を受け止める度量にもちゃんと説得力。妻を演じた前有佳、明るさを前面ではなく何かを隠しているというのはちょっと珍しい感じ。年齢を重ねて妻もきっちりと。編集者を演じた浅季愉女美、この規模の芝居でワンランク高いテンションの発生に戸惑いつつも、まあ美魔女っぷりについつい惹かれちゃうアタシです。童貞男を演じたちゅうりはオジサンの悲哀も拘りも余裕もみせつつ、ギターってのが素敵。

ネタバレ

妻は死が間近、というのが物語の要で、旅立ちを物語の核にしていて、それがタイトルにつながります。妻ばかりじゃなくて、店を畳むことになる童貞男もまた、いろんな意味で旅立ちなのです。妻が担ってきた口述筆記を編集者が引き継ぐのはちょっといい。病気を隠し男の前から静かに消えよう、という気持ちが切ない。が、小説家は、そんな妻の嘘には気付いていて、全力で受け止めよう、という格好良さ。

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