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2014.11.14

【芝居】「空想、甚だ濃いめのブルー」キ上の空論

2014.11.11 16:00  [CoRich]

旗揚げ一周年を記念して、過去二作品の再演を交互に行う企画公演。こちらは旗揚げ作ですが、私は未見です。95分。19日まで新宿眼科画廊スペースO。

役者たちのインプロ・シアターゲームの体裁で勧められる物語。時々演出家らしい男が止め説明したり方向修正を行ったりする。
大きな一本の木の下で出会った女子二人。一人は絵を描いていて、一人は東京からの転校生で。やがて二人は親友になるが、クラスが別れ、別の高校に進むと会うことも少なくなった。転校生の方は両親の別居に伴いこの土地を離れたがかつての親友には何も云わず、東京で働くようになる。絵を描いていた女は初恋の男の子とは別れ、別の男とバンドを見に行ってすぐに恋におちて、やがて身ごもる。男もプロポーズするが、すぐに事故で死んでしまう、という話を演出家は止め、男は実は結婚していてという設定に変えさせる。女はシングルマザーとなることを決める。

物語としては、女子二人の友情の物語、という感じ。親友だけれど別の道、でも片方のピンチにはもう一人が駆けつけて二人で生きていく、という小劇場ではななかなかないようなスタイルの物語を爽やかに描きます。

インプロ、という説明がされますが、ネットで見かける初演の感想をざっと見た感じでは、おそらくはほぼまったく同じ物語であり、多くの方が指摘しているとおり、上演にあたってはきっちり台本が書き込まれているものと思います。実際、311のタイミングや暗転など、ほんとうに即興なら成立しないだろうシーンも散見されます。

ドラマとしてそう強い力を持っているとは云えない物語の外側にもう一つ、インプロという枠を作ったのはなぜだろうと思うのです。本当に(初演の)役者たちによってエチュード的に作られたのかもしれないし、内側の物語を相対化して見せようという意図かもしれませんが、正直にいえばそれがあまり効果を生んでいるとは思えません。台本があるのだとすれば、観客をある種ブラフにかけているわけで、そんな危険をおかしてまで作家が描きたかったのは何だろうと思うのです。

終盤、311によって二人の女性がいちどは離ればなれになり再会するというシーンがあって、そこにやや唐突に挟み込まれた「岩手・高田松原の奇跡の一本松」の話。洪水の中、松原の一本だけが残ったというあれですが、多く報じられているとおり、初演時点でも、結局はレプリカのように構造物に変え、モニュメントとして保存されていたこれをわざわざ持ち出したのはなぜだろうと思うのです。最初はインプロだったけど、それを取り出し、レプリカのように作り上げたのがこの一本、という相似形なのか、というのはまあ深読みがすぎるでしょうか。

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