【芝居】「スペースウォーク」れんげでごはん
2014.10.25 15:30 [CoRich]
26日まで四柱神社。11月にも公演が予定されています。劇団山脈と交互上演。
ほぼ全ての宇宙船のコントロールを担うシステムが突然動かなくなった。こうなると船は手動で動かす必要があるし、あらかじめいれておかなかったステーションや惑星の位置情報も追加出来なくなる。交信手段はごく短いビデオメールだけ。救助要請のあった船に向かう。
たどりついてみれば民間船は装備も十分じゃないし、持っているデータもろくにない。船を捨てて乗り移らせようとしても自分の船を手放したくなくて抵抗する。
たどりついた別の船には男と女性型のアンドロイドが乗っているが、設定がちょっとおかしいようだ。
更に別の救助船からの通信が入るが、そんな船は訊いたことが無い。大丈夫なのか。疑いは晴れない。
体裁としてはかなりゆるい感じのコメディ、制御システムのおかげで普段はほとんど難しいことを気にしなくて宇宙旅行が出来る時代、そのシステムが壊れて面倒だなと思うのはそれなりに訓練されたパイロットで、それ以外の素人は、その深刻さもわからないまま、必要な目標物のデータも持ってなかったり、何も備えてなかったり、あるいはどこまでも気楽で。いちおうの緊急事態なのにどこか抜けた感じの人々。 この、切迫してる筈なのに脳天気で居る人々と、深刻さがわかって焦る人との対比がポイントかな、と思います。 さらには性能がいいはずなのに、わざと間違えたりかわいげを持たせる設定があるという女性型アンドロイドも楽しい。良く考えれば相当に男尊女卑というかひどい台詞だったりもするけれど、なんかそういう感じがわかっちゃうアタシも、まだまだ駄目人間のようです。
ゆるい感じの会話劇をきちんと作り込む、という体裁。たとえば「あひるなんちゃら」の会話劇が思い浮かぶけれど、正直そこまで精度が高いわけではありません。どこが違うかというとよくわからないのだけれど、会話の間やリズムの精度が上がると、実は大化けしそうな予感がします。 終盤近くの物語の主題は、救助を求める宇宙船が実は宇宙海賊かもしれない、というシチュエーションで、助けるのかどうかを延々逡巡して考えること。じつはかなりシリアスなシチュエーションですが、 究極の選択で、作家はどちらを選んでもほろ苦い物語になったろうと思うのです。
監視船のパイロットを演じた宗基は理性的で居続ける物語の柱。最初に助けにいった宇宙船のオーナーを演じた小口翔は抜けてる一般人というボケの一人め。次に助けに行った宇宙船のオーナーを演じた加藤吉は輪を掛けたぼけ加減が楽しい。女性型アンドロイドを演じた市川しをりは、オヤジのワタシには顔をみているだけで嬉しくなっちゃうような可愛らしさを造型しています。
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