【芝居】「ゴースト・プラネット」サムライナッツ
2014.10.25 12:00 [CoRich]
春に上演した作品を半年ぶりに再演。同じ長野県ですが、中信に分類される松本とは別の地域である南信・駒ヶ根の劇団で、札幌ハムプロとともに他地域という枠での参加。 26日までピカデリーホール。ごったに、演劇裁縫室ミシンと交互上演。
隕石が近づいてくると、鬼目石なる小さな石が降り注ぐ。陰陽師の二人はそれを狙って駒ヶ根までやってきた。
温泉旅行に行きたいとねだる恋人に対して節約指南の家系生まれた男はつれない。石を拾った。
コンビニバイトの女が拾った石の話をもう一人女に話している。持っていると幽霊というかお化けが見えてしまうのだと話すが、相手はあっさり信じる。だって死んでるから。
劇団の持ち味である新感線風味な夏の大劇場公演の印象がさめやらないけれど、もう一つの顔という小劇場公演。知っていてやってるのかはわからないけれど、二人ずつが多い口語的な会話にしても、美しいとはいえないけれど様式化されていなくてリアルを感じさせるのもどこかチェルフィッチュの香り。
鬼目石や陰陽師といった新感線的な道具立てははあるし、特に恋人の話しでは節約家な男が渋っていた温泉旅行に行くことにすると終幕は物語全体としてうまくまとまっています。が、とりわけポテチ女とコンビニ女の会話はいわゆる現代口語演劇の体温で演じられていてキレのいい会話劇として楽しめるのです。物語もこの二人の話は本筋に対してはある種説明だけなのだけれど、この部分は独立して、実は友達の少ないコンビニ女に、幽霊だけど(途中でおでこに三角の布のあれをつけるのも巧い)会話につきあってあげるという小さな物語も暖かい。
そういう意味では東京ではわりと多いタイプのイマドキな小劇場的な芝居とも云えますが、今回のまつもと演劇祭の中ではこのスタイルの芝居はむしろ少数派で印象に残ります。わりと広い劇場でことさらに声を張るでもなく、日常にありそうな体温に見えるように演じることはさすがに継続的に訓練された役者なのだなと思うのです。
彼女を演じた鈴木里美はほぼヒールだった夏公演からは一転、ほんとうに可愛らしく魅力的。彼氏を演じた中村遼は軽口を叩くのもいいし、主宰・松崎剛也と垣間見せるチャンバラも精度があって楽しい。ポテチ女を演じた雅とコンビニ女を演じた凛江はどこかマンガ的なコントラストな二人だけれど、作り込まれた会話はずっと聞いていたいぐらい会話が面白く、そしてその二人が愛おしいのです。
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