【芝居】「ガリレオ」シアタープロジェクト・サザンクロス
2014.10.24 10:30 [CoRich]
26日まで信濃ギャラリー。60分。
ガリレオ、地動説の確信は持っていたけれど天動説が支配的な時代ではそれを声高に主張するわけにはいかない。娘には貴族が結婚を申し込む。が、科学者で知り合いである男が教皇の座につくと耳にして、もういちど太陽の黒点を観察して発表しようとする。異端のそしりは免れず、殺されるかもしれない、と感じたガリレオは自説を曲げて天動説を受け入れる。助手だった男はそれ以来会わなかったけれど、国外に出て行くのだ。
信濃ギャラリーを横使いに二列の客席。上段はかなり高くて見やすいのだけれど、女性 が短いスカートで座ると横を見たりできないアタシです。
ブレヒトの戯曲(wikipedia)をぎゅっと60分に圧縮。誰もがある程度は知っている人物の物語だけれど、自説を曲げることを強いられた男の苦悩。信念を貫き通して殺されれば英雄にはなれたかもしれないけれど、ある意味狡猾に曲げて生き抜く姿。特に前半では見やすくするコミカルな要素を入れ、登場人物をぎゅっと絞り込んで作ってはあるけれど、今作のポイントは(読んでないのでほんとうのところはわからないけれど)、やや時代がかった、しかし美しい台詞なのだと思うのです。
ガリレオを演じた椿媛はその台詞の美しさをきっちり背負って見せ場を作ります。もともと一人芝居のユニットであるシアクロの強みでもあるのですが。家政婦を演じた清水奎花は決して大きな役じゃないけれど、いくつもの役、引きつける魅力。弟子を演じたそうめいは師匠への心酔の説得力。娘を演じた雑草はどこかお嬢さんな気質をしっかり。娘の婚約者を演じた田中もともまた、苦労知らずな雰囲気たっぷりだけれど、境界への忠誠という心の強さが見えづらいのが惜しい。
私の観た土曜午前の回では、体調の悪くなった観客がいましたが、逃げ場のないこの狭い劇場の一番奥の客席からの退出を、躊躇なく上演の続く舞台前を横切ってでも行ったのは結果的には正解だったと思います。この判断は非常に難しいところだけれど、ちゃんとそれに気づき、誘導を遅滞なく行った場内スタッフの英断はすごいな、と正直に思うのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「今はやることじゃない」箱庭円舞曲(2021.01.11)
- 【芝居】「オレステスとピュラデス」KAAT神奈川芸術劇場(2021.01.10)
- 【芝居】「みてみぬふり」北口改札(2020.12.30)
- 【芝居】「プライベートジョーク」パラドックス定数(2020.12.29)
- 【芝居】「完全な密室」やみ・あがりシアター(2020.12.12)
コメント