« 【芝居】「かもめ×かもめ」ごったに | トップページ | 【芝居】「鉛の匙」演劇裁縫室ミシン »

2014.11.03

【芝居】「カラクリヌード」札幌ハムプロジェクト

2014.10.25 18:30 [CoRich]

2月に東京で上演された演目を少し短縮して65分で上演。 26日まで上土ふれあいホール。レトロチック演劇倶楽部バンビちゃん'sと交互上演。

地底6000mで希少金属を採掘するロボットを作ることで日本は世界をリードしていた。その中の一体が地上6000mに住む首相の妻を見初める。この時代、ホットバッチという男女の相性を一瞬にして発光するかどうかで判別する端末をみんなが持っていて、妻は首相との結婚をこれによって決めていた。やがて金属そのものが枯渇するようになり、ロボットの一部をクローン技術によって作り出すことに成功し、更に掘削用から戦争の兵器として転用したものを販売するようになって日本経済を維持していくようになる。
地下6000mに居た採掘ロボットは戦場に送り込まれ、倒した相手の部品を使いながら自己を強化していた。やがて、首相の妻のもとに会いにいく。

まつもと演劇祭の中では二つあった地域外の団体の参加。ワゴンでさまざまな土地を巡る企画公演 (1, 2, 3) を続けていて、その繋がりで参加に至ったようです。さまざまな土地に繋がりのある強みを生かして (札幌よりは近い)東京の役者で構成されたキャストでの上演。

いままでの旅公演で松本に持ってきたものはどちらかというと祝祭感溢れるというか、どこか童話の世界というかクラフトっぽい手触りのものだったのだけれど、今作はがらりとテイストが変わり、訓練された役者が高いテンションのまま演じきるというスタイルの芝居に。結果的に今回の演劇祭では唯一のスタイルになっていて、演劇祭のバラエティを豊かにすることに寄与しています。 演劇でしかできないやりかたで祝祭感というよりはカッコイイSFの世界。 素舞台に小道具もホットバッチなるキーホルダーのようでさまざまな色に発光するガジェットだけ。 大量のロボットだったり、大勢の人だったりあるいは小さな芝居だったりと縦横無尽にテンポ良く 役を切り替えながら疾走感あふれる見せ方は、 往年の惑星ピスタチオでのパワーマイムを思い出させます。

男の子はすべからくSFが好き、という時代に育ったアタシには実にわくわくするような物語。 SFというのが流行らなくなったといわれて 久しいけれど、ロボットと人間の許されない遠距離恋愛(というとちょっと違うか)を物語の芯にして 恋愛映画としても読める強さがあります。 国が生き残るためにロボットからクローンという技術の変化で何をロボットとするのかの定義を政権 が恣意的に変えて行くというあたりはどこか、憲法の解釈の話しの香りがあったりもして、 社会派的な一面も見せます。

正直にいえば、終幕に向かってさまざまな要素が一気に するするとまとまっていくあたり、少しばかり混乱してしまってごちゃごちゃしたまま終幕に至って しまった印象があったりもします。アタシの理解力が落ちているということだけかもしれませんし 本来正味75分の芝居を65分にしたという改訂による物語のテンポ配分のバランスの問題かも知れません。

それでも、刺激的でしかもスタイリッシュ、ひとつの演劇祭のなかでさまざまなものが見られるというのは、東京のように劇場が溢れているわけではない地方都市での演劇祭の一つの魅力とも云えるのです。

|

« 【芝居】「かもめ×かもめ」ごったに | トップページ | 【芝居】「鉛の匙」演劇裁縫室ミシン »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「カラクリヌード」札幌ハムプロジェクト:

« 【芝居】「かもめ×かもめ」ごったに | トップページ | 【芝居】「鉛の匙」演劇裁縫室ミシン »