【芝居】「かもめ×かもめ」ごったに
2014.10.25 17:00 [CoRich]
まつもと演劇連合会が続けている芝居塾の初級コース卒業生で結成された中級に位置づけられた俳優コースの公演。 26日までピカデリーホール。60分。演劇裁縫室ミシン、劇団サムライナッツと交互上演。
女子校。演劇科のクラス。授業とは別にくまれたチーム。がこのまえ上演した台本は作演にとって渾身の一作だったにもかかわらず上演自体の評判は芳しくなく、途中で止められてしまった。それでも他校から呼ばれ主演だった女子生徒・ミナの評判はすこぶる高かった。プロになったOGが演出することになっていた企画公演は中止になるが、顧問の女教師と関係していて断ち切りがたい。が、主演だった女子生徒をOGは東京に呼ぶことにしている。
恥ずかしながらきちんと読んだことはないけれど、 チェーホフの「かもめ」(wikipedia) をモチーフにした一本。舞台を上下に仕切り、下手前部分で女子校らしい教室の風景、上はソファやぬいぐるみをしつらえつつも、檻のような場所で、基本的にはニーナがずっとそこに居続ける感じ。教室の中で行われる物語の枠組みは、現代っぽく、しかも今風のスキャンダラスな風味になっていますが、「かもめ」の断片。俳優に憧れる若い女、それを東京という場所に連れて行こうというプロの存在。
去年の上演に比べると数段見やすく感じるのは、物語そのもの、あるいは女子校という場所の設定がどこかコミカルであかるいからか、女優ばかりでおやじのアタシが嬉しいからか。中央に二段組された舞台のような場所がアクティングエリアとして固まってしまっているのを惜しいと感じてしまうアタシだけれど、 もしかした私たちから、箱庭のような人々の話として距離をわざとおいて見せているのかなと思ったりもします。
上段部分にずっと居続ける女は終幕近くに至って、劇中少しだけかたられるおじさんらしき男によって陵辱されるに至ります。何かの変質者のような描かれ方だけれど、これをもとの「かもめ」の物語のどこにはめ込んで腑に落ちようか、ということに迷います。東京に出て行くことによって起こるかもしれない、ある種の(気持ちも含めた)人格を壊されるような陵辱、ということかなぁ。
OGを演じた太田、教師を演じたまゆみの二人のデフォルメして「おんな」を強調した姿に理性はともかく脳味噌が喜んでしまってまだまだ煩悩が抜けないアタシです。 不評な公演の作演を演じた武井隼斗はある種の不器用さが持ち味の役者ですが、その存在感には磨きがかかっていて、印象に残る役者になってきています。
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