【芝居】「男子校にはいじめが少ない?」趣向
2014.11.23 19:30 [CoRich]
4月の短縮版上演(30分) からパワーアップしたリーディング上演。女子高生たちに対するワークショップも設定されています。おかげで破格の1000円が嬉しい。75分。 24日まで神奈川県青少年センター。
4月の上演では6人で10役だったものを、10人で。役は固定されるようになり、わかりやすくなった印象。曲もかなり増えた印象で、ミュージカルの様相すら感じさせるようになりました。全員がほぼ固定された椅子に着席し客席側をいて座り、台詞のたびに立って発話するというのは、リーディングというよりは卒業式か何かを見てるような感じがするけれど、女子高生のワークショップを行う側面を持つ本公演においては、自由度をあえて制限しているということかとも思いますが、結果的には観客である私にとってもわかりやすく、それぞれの人物の造型が表情とともにくっきりとみえてくるようで嬉しい効果もあるのです。
男子校の中のホモソーシャル感だけにとどまらず、まだ何にでもなれる万能感と同時に自分は何になれるんだろうという不安。 あるいはまだ触れえぬ女の子との悶々を想像する日々のつぼみの日々、という男子高校生の雰囲気。それは弾けるような若さのピークで万能感しかない存在のアイコンとして描かれることの多い女子高生とは全く別の、ただただ冴えない存在として描かれる男子高校生たちの姿は、男子校じゃなかったアタシではあるけれど、なんか共感してしまうのです。
リーディング上演が続くと次の期待はこれが普通の芝居として演出されたらどうなるのだろう、ということなのだけれど、どうだろう。今のところミュージカルが不得意なアタシにもそれほど違和感はないのだけれど。 もうひとつ。女優だけでこういう話をするという枠組みはそもそも勝ち筋だとおもうのだけれど、当の男子高校生たちに(石鹸玉以外の役を)やらせたらどうだろう、と思ったりもします。それをアタシが観たいか、といわれるとわからないけれど、この物語がそういう強度をもっているかどうか、ということは少しばかり興味があります。
自転車を演じた大川翔子は羽化する前とでもいうようなイノセントな、しかし未来がたっぷりある子供な雰囲気がたっぷりで観ていて笑顔になってしまいます。石鹸玉を演じた原田優理子、序盤での中学の延長の仲良い感じと終盤で一歩も二歩も先に大人になったギャップ。とりわけ二人が向き合う場面がそれを象徴的に。自殺願望な竹蜻蛉を演じた本間玲音はもうほんとに格好良く。コミカルでナード(とはちょっと違うか)を担う虫眼鏡を演じた中谷弥生の木訥な造型が可愛らしい。野次馬を演じた三澤さきはあれだけのロングヘアー、あからさまに女性だけれどヤンキーな造型が功奏して違和感がないのがすごい。宇宙人を演じた清水那保は不気味さの圧力という意味では正直弱さはあるのだけれど、それゆえにスクールカーストの中でちょっと浮いた感じという雰囲気に説得力もあるのです。
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