【芝居】「3 youths on the sand」無隣館
2014.11.21 19:00 [CoRich]
砂を敷き詰めた舞台で三つの物語。 青年団が団員募集を止め、演劇学校という位置づけではじめた無隣館の作家・演出家による若手自主公演。120分。 22日まで春風舎。
高校の頃手痛く振られた男が開くクリニックに、振った女が患者としてやってくる。男はあの頃の記憶が溢れ落ち着かないが、女はまったく気付くそぶりがない。「隣人の顔」 (作演・堀川炎) 不眠に悩まされる女は薬も効かず長い夜をつぶすため、毎晩違う男たちとのセックスを繰り返している。そんな女にかつての女友達が声をかけ、仕事もやめ、男たちと寝ることで生活できるようにしていこうという「不眠普及」(作・綾門優季、演出・蜂巣もも) ネットニュース会社の入社試験三次。女性宅に忍び込んだストーカー男が女を殺した事件をロールプレイし、独自の視点の意見を述べるというものだった。(作演・下田彦太)
「隣人〜」は、表向きは男だけが破れた初恋を忘れられず、しかも女が好きだったのは自分の弟だったという新事実を今さら知ってしまう追い打ち。もっともその弟のことすらももう女は忘れていて、大事にしていた弟にまつわる小箱をみせても思い出さない現実。隣人、つまり隣の席だったけれどそんなもの。それはひとつひとつのさまざまが砂に埋もれそしてそれ自体が砂になっていくように、記憶が薄れていくということを現実の砂で見せる面白さ。
「不眠〜」は伝染病というか性病と化した不眠の病を女にビッチよろしく感染させていくことで宗教のように人々を巻き込んでいこうという企みに組み込まれていく様子を。タイトルがダジャレじゃないか、というとはともかく物語のとっぴさもさることながら、坂倉奈津子の高いテンションの語り口を楽しむということかもしれません。もっとも、布団に寝る、というだけで微妙にパンツ見えそうな感じなのがやけにエロい。アタシは中学生か。
「Closet」はストーカー殺人、リベンジポルノという事件を語るうちに一人の男が隠している過去が炙り出されてくるという筋だて。リベンジポルノもイジメにまつわる加害少年の罪も、ある種ネットの暴力という共通点という幹というか作家の問題意識かと読み取りました。男性ふたりの格闘技のようなあれこれは面白いとも思うのだけれど、たとえば「朝日のような〜」の二人のやりとりを見てしまった今年としては少々物足りない気がしちゃうのは、まあワタシの事情です。
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