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2014.10.24

【芝居】「ペチュニア・ランデブー」或る夜の出来事

2014.10.19 19:00 [CoRich]

くろいぬパレードの長谷川恵一郎が立ち上げたユニット、アタシはこのユニット初見です。 26日までギャラリールデコ4。70分ほど。

仕事も何もかも手に入れていたはずの男が突然倒れた。次に目を覚ました時には、ベッドに横たわる自分の姿を目にした。声をかけてきた若い女は、若くして亡くなった男の母親だと名乗る。身体を離れさまよう魂は、恋人が別の男の浮気を目にしてしまい、かつての恋人たちとの日々を思い出したりもする。
再び身体に戻り目を覚ますことも可能だと判明するが、母親を名乗る女は離れがたい。

恋人たちと母親とが分化していない男を描いていると思うのです。楽につき合えていたと思っていた女が実は自分に合わせていてくれたとか、自分のことばかりだったりとか。自覚はないけれど、自分のことばかり、というのはどこかこの歳に至ってもどこか思い当たることばかりで、いまさら成長してない自分を思い知ることになったりするのです。

正直に云えば、なんで母親の若い頃の写真、というセリフが後半であるのに若い母親に出会った時に誰かわからない、しばらく信じないというあたりなど、いくつか綻びのようなものが残ったりはしていますが、基本的にはあくまでも優しい人々で構成された物語はどこまでも優しさが勝っていて、それはそう悪い話ではありません。

役者を欲張った結果かどうか、たいそう手間をかけて映像出演で昔の恋人たち、というシーンがあります。何人かの恋人たちとのデート、同じ場所に行ったかもしれないし、もしかしたら記憶が混濁しているかもしれない。走馬燈という役割なのか、と後から気付きます。

浮気してるはずの男のことを健気に待ち続ける女を演じた福永理未は可愛らしく、恋人を演じた両角葉は仕事もしっかりしつつ酔っぱらいのイキオイもありつつ、一夜を伴にするというのはまあ(ワタシにとっては(泣))ファンタジーだけれどこのシーンの酔っぱらいにやけに色気があって説得力を持つのです。若き母親を演じた奥野亮子はまっすぐで凛々しく、しかもふわりと優しい造型が素敵です。浅倉洋介が演じる馬鹿キャラは時々目にしますが、難しいバランスの綱渡りという気も。主役の男を演じた長谷川恵一郎は闘病生活をしている、という実体験に近い役でことさらにデフォルメしたりせずフラットにきっちりと。

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