【芝居】「止まらない子供たちが轢かれてゆく」Cui?
2014.9.7 14:00 [CoRich]
2013年のせんだい短編戯曲賞大賞となった二編のうちのひとつ。75分。 16日まで春風舎。そのあと仙台。
その小学校は教師のコントロールが効かなくなっており、教師は見て見ぬ振りをするなか児童たちによる学級裁判が全てを決めている。転校を間近に控えた女子児童が同級生からの手紙を捨てているのをみつかり、この裁判にかけられるが、その裁判を取り仕切っているように見えた男子児童は別の男子児童の筋書きに乗っているだけだった。二人の男子児童は些細なことで行き違い、傀儡の男子児童は激高して屋上に上がり誤って転落してしまうが命を取り留める。この学級裁判を始めたのはかつての児童で教師を退職に追い込んだりしていたが、教師に殴られ余儀なく留年した女子児童を守る機能としてこの仕組みを作り上げた。
いっぽうで、訴えられた女子児童の親はモンスターペアレントよろしく学校に乗り込み相手の親を締め上げる。
当日パンフで作家自身が言っているとおり、小学生という設定のわりには言葉が悉く大人びていて、ちょっと違和感があります。じっさいのところ、中学生、高校生だったとしても実はあまり違和感がなくて、子供がミドルティーン、ハイティーンだとしても十分に成り立つどころか、終幕直前で語られる、学級裁判を始めた男子とそれによって守られてる女子の関係など、小学生で成立しないわけではないけれど、
小学生という設定にしたがためのミスリードを誘っているようで
違和感があるのです。
詩的で少々抽象的だけれど心地の良い言葉が続く終盤。群唱があるからというわけじゃないとは思いますが、語っていることは全く違うのだけれど、どこか「朝日のような夕日をつれて」な雰囲気をまといます。いつか墜落するとしても全力で走っていればその間だけは飛んで止まるな、というのは子供に対する応援歌のようにも聞こえますが物語が子供たちに向き合っているかどうか、今ひとつぴんとこないのです。
とはいえ、スピード感溢れる序盤から中盤まではどこまでも緊張感が続くし、見た目にも面白い映像の効果を併用したりして吸い込まれるように観てしまいます。目線をいれて匿名の誰かを語らせるとか、リングを模したような黄色いテープも面白い。
転校する女子を演じた原田つむぎ、守られている女を演じた芝村薫の対決がカッコイイ。あからさまなモンスターペアレントな父を演じた中田麦平のパワー押しな感じもなかなかみられない役で面白い。
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