【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2014」 Kokami Network/サードステージ
2014.9.13 18:00 [CoRich]
凱旋公演となる東京追加公演の千秋楽。この物語に魅入られたとおぼしき満員の観客はお祭りでもあって。中央ブロック2列目に潜り込んだアタシ(何度も通うサンシャイン劇場だけれど、たぶんアタシ史上もっとも前列だ)は、この濃い芝居の濃密さが楽しいのは、前回もうすこし引いて全体像が見えているから、ともいえます。
もちろん安定の役者たち。アドリブに見えて精密に作られた芝居は変わりなく安定、と思いきや。巨大ドッチボールが照明機材を倒してみたり、ボール遊びで天井に向かって投げるボールが照明機材に当たってみたりというちょっとしたアクシデント。もちろん沸く客席だけれど、それを引きずらないのは、もしかしてもれも仕込んだかと思わせてしまうぐらいに安定していて。紀ノ国屋ホールではあった、ライトのついたリフトでマーケッター(モニター)が降りてくるシーンもスポットライトに台というだけで、このシーンの印象が強烈なアタシには少々寂しい感じではあります。友人に聞いてみれば、ほかの劇場では変えていることもあるようです。
そういえばオフ会常連だったな昔の仲間と久々に同じステージを見て感想を述べるけれど、あの時とは違ってそれぞれに帰る感じ、というのは劇中で「もう帰っちゃうのか」と呟くシーンに重なります。アタシはいつまでこうしてゴドーを待つのだろうとか思ったり、思わなかったり。
今回の上演でやっとこさ物語のアウトラインを、有限な要素の組み合わせは無限とも思われるほどに及ぶけれど、いつかきっとまた同じ組み合わせが現れる、それを待ち続けるのだと感じ取ったアタシです。そう考えれば別れてしまった女性のことを延々考え続けるということを骨格の一つに鴻上尚史が拘り続ける 物語の断片で、噛めばかむほど味が出てくるなぁと思うのです。更に、作家が感じるテクノロジの進歩を物語に組み入れることが運命づけられた「朝日」は、その時代を写しとって変化していくおもしろさもあって、作家がどうテクノロジーと時代を描いていくのだろうという点で、これからも観たい物語の一つなのです。
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