« 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2014」 Kokami Network/サードステージ | トップページ | 【芝居】「インザマッド(ただし太陽の下)」範宙遊泳 »

2014.08.22

【芝居】「大人の新感線『ラストフラワーズ』」ヴィレッヂ

2014.8.15 18:00 [CoRich]

25日まで赤坂ACTシアターのあと大阪。205分。

ヤクザの男が北欧のカジノに向かう途中拉致され、妻の胎内の子供を使って人類を進化させる実験に同意する。
成長した双子の弟は親を継ぎ歌舞伎町で一大勢力となっていた。兄は知能が異常に発達したが身体は弱くそれを影で支えている。対抗する外国人たちの一大勢力の祖国は貧しい国民からの搾取で成り立つ独裁国家で、近隣諸国への牽制のための兵器を密かに開発している。それを指揮しているのが歌舞伎町に暮らす双子の兄だった。
警察の秘密機関MISSINGは国家予算を削減され、ついに組織を維持できなくなっており、構成員はそれぞれ別の仕事を持つようになっていて「趣味で」事件の解決に当たるように命じられる。彼らが次に目を付けたのは、借金で首が回らなくなった男たちに最後のひと花を咲かせるべく、大量の報奨金を付けて暗殺を遂行させる 「ラストフラワーズ」の存在だった。
元ミュージシャンだった男は一曲だけ今は亡き妻とのレコードを発売しているが今は落ちぶれている。その男を題材に本を出したいと若い女性のライターが追いかけているが、借金の返済はどうにもならず、ラストフラワーズの一員となるが、行きがかり上MISSINGの面々が彼をサポートする。
独裁国家は王国への移行を狙い、盛大な式典を開く。それと同時に世界中に向けて秘密兵器を放ち、人類を退化させる計画なのだ。独裁者を狙いラストフラワーズとMISSINGの面々も密かに送り込まれる。

新感線に大人計画、というお祭り感満載の公演、開演前に芝居では珍しく、これはフィクションだ、という注意が写されます。なるほど始まってみれば、いろいろ今、これを娯楽作でやる、ということの意味がよくわからなくなるような題材なのです。基本的な構造は、歌舞伎町を舞台にした日本のやくざと、北朝鮮を思わせる外国人(またはいわゆる在日)の抗争をベースに、彼の国の秘密兵器が(核ではなく)地球人が開発したUFOで、それを使って世界を敵にまわす気満々、というのが骨格。かつて日本がそう見られていたように、あるいは冷戦の時代ならソ連がそうだったように、何をしでかすかわからない怖い国、をヒールに。もちろん、そこには救われる話があって、ヒッピーの時代のような素敵な歌詞の歌が彼の国ではながれていて、それが世界を救う、という終幕。もっとも、世界中から発射された核ミサイルの処理は全部海に落とす、ということでいいのか、というのは、今時の日本人としては、あんまりそれで安心しちゃいけないんじゃないか、とも思うのです。

お祭り感の楽しさはもちろん。古田新太はキレッキレに身体が動き、阿部サダヲは格好良く、小池栄子は可愛らしくてしかもカッコイイ。荒川良々のすっとぼけた感じも嬉しいし、平岩紙と星野源の歌が実に素敵だったりもします。歌と云えば 東京スカパラダイスオーケストラの音楽が実に素敵で、これぞ劇伴という振り幅がいいのです。

|

« 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2014」 Kokami Network/サードステージ | トップページ | 【芝居】「インザマッド(ただし太陽の下)」範宙遊泳 »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「大人の新感線『ラストフラワーズ』」ヴィレッヂ:

« 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2014」 Kokami Network/サードステージ | トップページ | 【芝居】「インザマッド(ただし太陽の下)」範宙遊泳 »