【芝居】「あゆみ」青年座
2014.7.21 14:00 [CoRich]
60周年企画として、青年座の役者たちによる三演目連続上演という企画公演「Act 3D」の一本め。 2008年初演(私は未見です)が様々な演出や台本で演じられている (1, 2, 3) ものの、作家自身による青年座への初演出。 (「ままごと」のサイトで、戯曲の無料公開がされています。 21日まで青年座劇場。90分。
「あいちの」とか「弘前の」とタイトルがついて、いろいろな演出バリエーションがある「あゆみ」ですが、一人芝居版をのぞけば、「舞台の幅を超えて登場人物たちがよこすクロールで移動し続ける物語」を「役者が代わる代わるで一人の人物と、人数によっては周りの人々」を演じる、というフォーマットが基本だと思います。ずっと同じ方向で成長を、ちょっと回り道で停滞とか思いの強さ、あるいは逆行して思い出すこと、など巧いフォーマットを発明したものだな、というのをさまざまなバリエーションを観て今さら気付くワタシです。
「青年座版」として上演された本作も例外ではありません。わりと若い(高校生など)によって演じられることが多い戯曲ですが、今作は青年座の幅広い年齢の俳優たちによって演じられ、更に男性が加わっているというのも珍しい印象です。それでも基本的には女性たちの物語を主軸にしつつ、意地悪する男子とか会社の後輩男子兼・夫になるひと、あるいは散歩に連れ歩く犬(山口晃 が演じる小学生、犬が実に絶品で)など、いろんな演じ方ができるなという奥深さと物語が持つ幹の強さと余白も再確認できるのです。
女優が演じている、という前提で、序盤のはじめの一歩までの部分が、女優を意識した台詞が追加されていたり、途中の上京の目的が女優になりかけたりとか(元々の戯曲は、上京の理由が進学なのか就職なのか注意深くそぎ落とされていることに戯曲を読んで初めて気付きました。たしかに高校生に演じさせるならここを限定するべきじゃない。)
会社に入って後輩の男の子と呑んだあげく酔いつぶれて、おんぶされながら延々歩くシーンがやっぱりすきです。なんだろね、このアタシの嗜好。
上京、恋愛、結婚、出産というのが明らかに未来(の一部)である女子高生たちが演じる場合と、むしろそれを現在進行や過去のこと(女優たちが果たして結婚しているのか、子供がいるのかについては全く知らない私ですが)と感じられるように演じられる今作とでは合わせ鏡のように印象が異なる、というのも新しい地平。とはいえ、戯曲にある逆行を山登り、だということなんかすっかり忘れてもいるアタシなのですが。
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