【芝居】「エロビアンナイト」犬と串
2014.6.29 13:00 [CoRich]
初めて性を描いた、と銘打つ125分。29日まで王子小劇場。
高校生の男女、互いの好意を確認したが気持ちの準備がつかない女が男を制するために、頭の中でエロとは別のことを考えるように頼んだことで、二人は毎夜エロに踏み出さないために、おもしろい馬鹿話を続ける。5年経ち、二人は大人になり、互いに好意を持っているしデートもするが、男はその一歩を踏み出そうとするだけで馬鹿話の妄想があふれ出すようになるどころか、バイト先の店長とただれた関係の店員とがいちゃつこうとするだけでも、その妄想があふれ出してしまう。 店長は男の本性を暴こうとするが。
好きあう二人だけれど、最初の拒絶が尾を引いて5年ものあいだずっと触れあうことすらできない二人を物語の軸に。そのエロい考えを止めるためのとりとめのないバカ妄想の数々がこの物語を彩り、性愛一歩手前の寸止め感を、高い精度とテンションで引っ張り続けます。一つ一つは「生牡蠣」にしても「ワキオニギリ」にしてもコネタだしナンセンスだったりもして、爆発力という点でそれほど強力なわけではないけれど、これだけの物量とテンポの良さできっちり引っ張る力があります。
後半に至り、二人の男女を隔てる理由が、二人は兄妹の関係なのだということが あかされます。そこまでのばかばかしさとは一転、かなり高いハードルが立ちはだかるわけで、結果、やや自閉ともとれる状態に追い込まれている男の立ち位置も明らかにされます。これをどう乗り越えるか(あるいは乗り越えられないか)が作家の腕の見せ所になるはずなのだけれど、正直にいえば、作家はここを乗り越えるということを放棄していて、二人の気持ちの持ちようの変化と、 ちょっとびっくりするような演出という見せ方だけで、この問題を乗り越えたかのように見せていて、正直肩すかしな感は否めません。インモラルが悪いというわけではなくて、なにも解決してないはずなのに、解決したかのように見せているだけだ、ということが根幹の問題として残るのです。
とはいえ若い劇団らしく、高いテンションのまま延々と続くコミカルな馬鹿馬鹿しさはこれだけの物量でがんばれば実に楽しくて。若いカップルを演じた藤尾姦太郎はまっすぐゆえに自閉に追い込まれる造形とバカ芝居のふれ幅の魅力。その彼女を演じた服部容子は肉感的で明るくて魅力的で惚れてしまいます。 すっかりブス扱いなのに性欲におぼれるという役を演じる鈴木アメリもしかし、やけにめがねキャラがかわいらしく。アラビア風衣装のバカ芝居を担う三人(石澤希代子、板倉武志、堀雄貴)は、物語には実際のところからまないけれど、めまぐるしい早変わりと高いテンションが維持し続けられていて、 まるで舞台装置の一部を担うように、場を作り出しています。
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