【芝居】「クツシタの夜」猫の会
2014.7.21 17:00 [CoRich]
2009年初演作( 1, 2 ) の再演。27日までひつじ座。100分。
夫婦の事を描くことが多かった初期の作品の一本。市井に暮らすけれど、どこか少し狂ったところがある人々。静かに演じられていても、たとえば電器店勤めだけれどのめり込むように野良猫のことが最優先という夫だったり、奔放に振る舞い映画関係の友達が毎日のように訪れたり、ぷいと居なくなったかと思えば他の男と旅をしている女だったり。相当にぶっ飛んでいます。 そうなのです、人間の話なのか、猫の話なのか、という境界の曖昧さが魅力を生むのです。猫は自由でいいなぁ、というあこがれのようなものと、人間が猫という生き物の生き死にをコントロールすること、という具合に対比が一つの幹なのだな、と思うのです。
具象で作られた初演に対して、床に散乱した大量の服と吊られたいくつかの服、シンプルにテーブルや椅子。部屋のどこで会話されていて、何処にどんな物があるかという周囲の状況がわからない感じで、会話が行われる場所だけを取り出して、クローズアップしてるような印象があります。
初演もリーディングも見てるのに例によってすっぽりと記憶がなくて、新鮮な気持ちで見ているアタシですが、販売されている戯曲のおしまいについていた過去も含めたキャストの一覧を見比べてみると、こういうキャラクタにはこの役者、という雰囲気を思い出します。
数日後に観たもう一本が強烈すぎて、誠実に物語に向き合って作り上げた今作の舞台の印象があまりに弱くなってしまったのは本当に惜しい。ゆっくり、ゆっくりかみしめるように味わいたい物語なのです。
妻を演じた菊池佳南はちょっと猫っぽい顔立ちもあいまって、奔放でも夫は待ってるし、弱ってきたら戻ってくるし、という説得力があります。大家を演じた、村田与志行は近所の顔役的なオジさん感がいい味になっています。映画監督を演じた力武修一は、ちょっとなよっとしている感じにスカートといういでたちがよくあっています。山ノ井史が演じた獣医という役は、伝統的に何か企みを持っている怪しい人物という役ですが、これもまたよくあってるなぁ。
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