【芝居】「proof(プルーフ)-証明-」風琴工房
2013.5.31 19:00 [CoRich]
1日までSHIBAURA HOUSE 5階。ほぼ2時間ですが、アタシの回はやや客入れに手間取って、15分押しでした。 ( 1, 2, 3, 4, 5)
これまで観てきたのはすべてコロブチカ版以外は谷賢一翻訳版で、演出も彼の手によるものでした。新たな翻訳、新たな演出でみるというのはスリリングででした。
風琴工房が見つけてくる上演場所の「ロケハン」能力の高さには何時も驚かされます。ここもその例に漏れません。 10階相当のガラス張りの高さ、夕暮れから日が暮れていく時間とともに進む物語。昼公演では、最初にカーテンを閉めておいて夜のシーンが終わったところでカーテンを開いているようで、それはそれで新鮮で華やかな感じがたのしそう。対して夜公演では、暮れなずみ変化していく夜景を背景という楽しさ。正直に云えば、この風景は舞台となっているシカゴというよりは妹が忌み嫌い姉が住むニューヨークじゃないか、と思わないことはないけれど。 借景の面白さなら、たとえば湖畔の別荘とか飲食店のデッキで演じられるのもみたいなと思ったりします。
戯曲の設定ではすべて家の裏側にあるバックポーチ、という場所なのだそう。風琴版ではそれに忠実で、ずっと外、という印象。 コロブチカ版ではブランコがあった記憶ですから、これも戯曲通り。 ダルカラ版では、外の部屋と家の中の部屋をめまぐるしく変わっている印象がここ数本では感じます。これも判ってないだけ、の可能性もありますが。
もうひとつ一日で観た二本の顕著な違いは、父と住み続けた妹・キャサリンの造型なのです。 風琴版は空が見える借景に登場するという場所の違いも大きいと思いますが、キャサリンはどこまでもフラットで、というよりはむしろ健康的な造型が強烈な印象を残します。なるほど終盤で、彼女は強いという台詞、あるいは男が大丈夫だよ、と云うという台詞に対しての説得力はこちらが増している印象。美しすぎなくて、髪が無造作な感じ(←失礼)もいいのです。
佐藤誓が演じた父親の造型もまた新たな印象。大人でやさしくて、力強くて。正直にいえば美しい数式を苦もなく生み出すというよりは、地道な積み重ねという印象が勝ります。 ペンがノック式じゃなくてキャップ式というのも新鮮な驚きでした。 若い男を演じた金丸慎太郎はどこか企みそうな感じで、私のハルの基準点に近い印象。 姉を演じた李千鶴は美しく、力強く。
バックポーチに戸棚を作って、役者に食器を持たせて通路を移動させないというのはいいアイディアで、スピーディーに場転できるように思います。 休憩無しの2時間強という時間ですが、特段に何かを削ったという印象では無く、かといって早口というわけでもないので、こういう細かな詰めも効いているのだろうなと思います。
私にとってのプルーフが、新たな軸を持って感じ受け取れた、という「多様さ」が得られたことがとても嬉しいし、この場所で上演されたこともあいまって、強烈な印象を残す一本となったのです。
2007.8 時間堂 王子小劇場※未見 |
2008.5 ハイリンド 楽園※未見 |
2008.12 コロブチカ 王子小劇場 |
2009.10 DULL-COLORED POP サンモールスタジオ |
2013.5 DULL-COLORED POP シアター風姿花伝(谷演出) |
2013.5 DULL-COLORED POP シアター風姿花伝(元田演出) |
2014.5 DULL-COLORED POP番外 サンモールスタジオ |
2014.5 風琴工房 SHIBAURA HOUSE |
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キャサリン | 清水那保 | はざまみゆき | コロ | 清水那保 | 百花亜希 | 若林えり/中村梨那 | 百花亜希 | 清水穂奈美 |
ロバート | 根津茂尚 | 多根周作 | 小谷真一 | 中田顯史郎 | 中田顯史郎 | 塚越健一 | 大家仁志 | 佐藤誓 |
ハル | 玉置玲央 | 伊原農 | 鈴木浩司 | 小栗剛 | 東谷英人 | 大石憲 | 山本匠馬 | 金丸慎太郎 |
クレア | 足立由夏 | 枝元萌 | こいけけいこ | 木下祐子 | 境宏子 | 堀奈津美 | 遠野あすか | 李千鶴 |
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