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2014.06.09

【芝居】「ウォーターバック」ぬいぐるみハンター

2014.6.1 16:30 [CoRich]

120分。千穐楽は15分ほど押しての開演。1日まで吉祥寺シアター。

サバンナ。野生動物たちは少なくなっていて、人間たちが暮らしているが、圧倒的な権力を持つキングは頂点に、まるで野生動物のピラミッドのように強弱のついた民族たちが暮らしている。かつての反乱を経て、キングはこのサバンナでの音楽を禁じている。
ある日、東の島国から旅人の女二人がキングを探してサバンナを訪れるが音楽のことを口にしてキングの命を受けたハイエナ族に追われる。かくまわれたウォーターバック族の村にハイエナ族の追っ手がやってきて小さい子供はキングの元にさらわれてしまう。ウォーターバック族の女・ミーアの母親はこの村を裏切ったという声を浴びせる者もいて、ミーアは外の世界を見るためにサバンナを出る。ミーアの姉の結婚式までに連れ戻すため、幼なじみも後を追う。ミーアは サバンナでは目にしたことのなかった海にたどりつき、ギターを抱えた女、そして音楽と出会う。音楽を持ち帰った村では、結婚式が盛大に執り行われる。 前回作品からサバンナの野生動物をモチーフにした芝居になっている、ぬいハン。大きなタッパに深い奥行きの吉祥寺シアターに対して彼らは人数と物語の物量という方法で。

子供たちの成長、裏切った母親、禁じられた音楽などの物語の物量や、多くの役者、あるいは野生動物を模した人々の造型が消化し切れていないという感じがして、やや混乱したままに本番を迎えているという印象を残します。物語の骨子や雰囲気は面白くなりそうな予感もありますから、研ぎ澄まされた一本を見たいなとも思うのです。

序盤や結婚式での人数を生かしたダンスは、吉祥寺シアターの舞台の広さもあいまって祝祭感も迫力もあってみていて楽しい。 思春期なんだぞとか何とかいいながら、照れ合う男女のシーンが好きです。どちらかというとこれまでのぬいぐるみハンターの得意技ですから、そいういう意味では安心感があるということかもしれません。あるいは細かく入れたギャグ、唐突に現れるカレーを探し回る男とか、飼っているルンバという設定なのにタミヤのマークの付いたTシャツを着た男のラジコン操作が見切れるとかといったあたりもかならずしも上手くはまってない惜しさはあるものの、なんかやけに好きだったりします。

一色洋平の卓越した身体能力は、今作の見所の一つです。この広い劇場を飛び回り跳ね回る疾走感やジャンプするイキオイが見ていて楽しい。正直に云えばこのテンションに対抗しうる役者が座組に居たらまた一つ面白さが増すだろうな、と思ったりもします。富山恵理子はやや低いテンションだけれどちゃんと笑いを取る安定感、若い座組の中にあってわりと年齢の高い辻修も遜色なく、昔のママにややオフビートなコミカルさがさすが。道化を演じた浅見臣樹もやや低いテンションでツッコむ面白さ。どちらかというと可愛さが先に立ち、テンションとかコミカルという点では物足りなさの残る水木桜子の旅のシーンをきっちりサポートします。

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