【芝居】「俺たちの劇 inspired by 屋根裏」ろりえ
2014.6.13 14:00 [CoRich]
劇作家大会の提携企画。15日まで、城崎国際アートセンター/スタジオ5、120分。
久々に会う劇団の人々が懐かしい居酒屋に集まる。店員もあの時のままだ。かならずしもみな芝居で暮らしているわけではなくなってる。劇団を続けてきた主宰の女は姿を見せない。東京を離れて地元に戻ろうとしている。
田舎の高校生、ここで暮らしているけれど、同級生の女の子はキラキラしている東京に憬れている。
燐光群の名作、「屋根裏」(1)にインスパイアされたのだといいます。舞台奥にその「屋根裏」をかたどったランプはあるものの、どこがどう屋根裏インスパイアなのかは正直わかりません。星空の星座のように屋根裏の形に、といえば云えるかも知れません。
劇団があって、それぞれの人々が居てものすごく盛り上がった時代もあったけれど、それぞれの歩む道が変わってきていること、とりわけ熱心に制作の立場で支えてきた女が東京を離れて地元に戻ろうという気持ちに変化したということが物語のベースのひとつ。久しぶりに集まった人々、そこの場のなにもかもがなつかしく、あのころこれがあったあれがあったということを語る会話の楽しさ。役者が売れてみたり、別の道だったり。それぞれが解散していくちょっともの悲しい感じ。
もう一つの物語は田舎の高校生、東京にはキラキラがあり、田舎は好きになれない女子の姿。
二人が居合わせる、列車の中。銀河鉄道の夜風味ではあるけれど、二人に強いつながりがあるわけでもなく、あるいは東京と地方という場所と時間の違いを生かして同一人物に重ねるということでもなく、出会ってそして別れます。
劇団の方のパートは、作家の周囲50cmで起きる出来事を描くという意味で小劇場でよくある話で、それぞれの役者のキャラクタは面白いものの、物語としてそう大きな事が起きるわけではありません。高校生のパートも、そういう意味では物語があるわけではなく。
田舎の高校生パートで、非関西圏のアタシにすらわかるニセモノの関西弁を、関西のこの場所でやるということの意味がよくわからないのです。意図的に戯画的な描き方といえばそうかもしれないけれど、どちらかというと敬意がなく感じて、不快感が先に立つ私です。せめて物語の上で何かの効果なり、敬意なりが欲しい。東京なら何でもない芝居の一つとして切り捨てればすむものですが、劇作家大会という場所で、関西圏の(たしかに)田舎のこの場所でこれを上演するということの意図が分からないのです。
地方から見た東京のキラキラと、その後のやや夢破れて地元に戻る、という対比、それを銀河鉄道の車内で交差させる、という構図はちょっと面白いだけに、不快に感じてしまう作り方が残念。
役者それぞれの魅力。尾倉ケントの盛り上げる感じだったり、中村梨那の中国人店員だったり、制作を演じた片岡ちひろの凛とした感じだったり、主宰を演じた渡辺実希の美しさだったり。なにより東京に憬れる高校生を演じた南美櫻、わりとテンションの高い役が多い役者ですが、それを封印してきちんと芝居であって、印象に残る役者なのです。
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