【芝居】「耳のトンネル」FUKAIPRODUCE羽衣
2014.6.21 14:00 [CoRich]
「妙ジカル」が人気の劇団の改訂再演。アタシは初見です。休憩を挟み3時間。伊丹のあと、22日まで吉祥寺シアター。
自称ミュージシャンの男が死んだ。喪主は同棲していた女で、彼女が男からベッドの横で聞かされたこれまでの生い立ちと歌を思い出す。
中学生の時は女子とはしゃべれなかったのにおっぱいには触りたくて、エレキギターを買ってもらって男友達ができて、ラジオドラマを作ることになり、同級生たちは恋人ができたり、夏休みの間に初体験をすませたり。大学生の時に同級生は世界を自転車で巡り、友達も恋人もできて。
好意を持っている女とラブホテルにはいって結婚を申し込み、しかし飲み屋の若い女に熱を上げて旅行にいったあげく離婚され、子供とも分かれてしまう。そのあと一緒に住むようになった女が喪主で。
わりと下世話な男女の話を基本に、一人の男の女遍歴、という体裁で物語は進みます。愛と云うよりはおっぱいにさわりたい、初体験したい、セックスしたいというのが原動力な動き方で、気持ちいいほどに下世話で統一した物語はたいしたもので、わりとそれが好きなあたしです。
曲はそれぞれに魅力的なのだけれど、童貞処女の若いカップルが、夕暮れの帰り道、というところから夏休みの留守番というタイミングがあって初体験に至る「ロストチェリー」がちょっといい味わい。金子岳憲の歌ってあまり聞かないけれど、もう熱唱ともいう感じで、それが巧くて、なんか沁みてきます。ポップさでは自転車旅行に出かけた男の「旅させろ!!旅させろ!」の高揚感もいい。
よく考えたらモテモテ男の恋愛遍歴という感じな訳で、鼻持ちならない感じになりかねないところなのだけれど、ミュージカル風味にしてあるからかアカラサマにスケベ押しでコミカルにしてあるからかそれほどイヤな感じでもありません。
小説家志望の男を働いて支える女、妊娠を知ると男が逃げ出してしまうという酷い話も、やけにコミカル ラブホテルでのさまざまな男女を描く「ラブホチャペル」のマンガのようなカップルたちがおもしろいし、歌った幸田尚子、澤田慎司のイケメン、美女なカップルがすごいし、きめっきめでかっこいい。
なにより、不倫旅行に出かける二人の物語と歌がいいのです。 男を何歳に設定したかわからないけれど、若い女への恋心、もう老いに入りつつある自分を自覚しつつ、でも彼女のことがとても好きで自分のものにしたい、というスケベ心全開の、しかしどこかまっすぐな「ちかちゃん、ちかちゃん」は、年齢の老いとか若い女へのほのかな恋心がというのが、アタシの年齢にとても沁みるのです。もっとも、モテは一致しないわけですが(泣)。若い恋人を演じた内田慈は、それはもう本当に魅力的で可愛らしい。
確かに葬儀で一つにまとめてはいるけれど、軸となる男の物語以外に、その友人や同棲相手を描くわき道も割と充実していて、キャストの魅力を楽しむという意味ではうれしい感じ。正直に云えば、物語のまとまりとしては正直イマイチでやや散漫な印象が残ります。ええ、もちろんおなかいっぱいに盛りだくさんなのはどれ一つ手抜かりがなくて、楽しめるのですが。もう一つ「屁phychedelic GUS」という曲があるけれど、"GAS"じゃないのかなぁ。
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