【芝居】「鍵泥棒のメソッド」キャラメルボックス (ブラックキャスト)
2014.5.10 19:00 [CoRich]
映画の原作をもとに舞台化。125分。6月1日までサンシャイン劇場、そのあと神戸。
貧乏役者の男は、銭湯で偶然居合わせた金回りの良さそうな男が転倒のはずみで気絶した隙にロッカーの鍵をすり替え、その男の服と財布を手に入れて彼になりすます。転んだ男は病院に運び込まれるが記憶を失っており、すり替えられた鍵のロッカーから出てきた所持品から、貧乏役者としての生活を始めるが、本棚にあった役者修業の本で真面目に努力して、テレビドラマの端役として監督から気に入られて一歩を踏み出す。
婚活中の女性編集長はその姿に好感を持つ。相手も居ないのに1ヶ月で結婚しようと少々焦っていたが、見た目よりも性格を厳しく重視していて相手がなかなかみつからなかった矢先に現れた男だったのだ。
いっぽう、羽振りのいい生活にすり替わったものの、それは伝説の殺し屋として裏社会では顔こそ知られないものの、その仕事ぶりが知られた存在としてだった。前の依頼で見つかるはずだった大金が見つからず関係する女からその行方を聞き出して始末するという新たな依頼を受けてしまう。そんな金は知らないと言い張る女を逃がそうとしたのが依頼者にばれて、ギリギリのところで逃げ帰る。
逃げ帰った男を待っていたのは、失っていた記憶を取り戻した男だった。
物語としての面白さは折り紙付き。原作となる映画で演じる役者だって今をときめく堺雅人に香川照之とという布陣ならヒットもむべなるかな。それを原作にとった舞台化となると相当なプレッシャーだろうと想像しますが、「メソッド」というのを役者の技術のもとになる技術を描いたもの、となれば、また舞台化の意味は出てこようというもの。
観劇後に慌ててTSUTAYAに走って映画版を借りてみました。「ショーシャンクの空」の時以来、こういうのがクセになってる気がします。クローズアップのおかげでセリフによる説明が不要など、どちらかというと静かでぽつぽつとセリフが語られる印象の映画版に比べると、小物に関してはどうしてもセリフで説明するしかないなど、言葉が増える印象。元々の映画もきっちり喜劇ですが、よりコミカルが強くなります。が、それにしてもびっくりするぐらい、映像を改変することなくきっちり舞台にしている、という印象があります。そういう意味ではショーシャンクにあったような舞台特有のプラスを期待する向きには少々物足りない可能性もありますが、映像からの舞台化という方向の場合手堅い作り方でもあって、それは成功していると思います。
正直にいえば、終幕でアクセントになる警告音に違和感。クルマの盗難防止装置の警告音が、きゅん、のサイレンなのだけれど、わりと映画では序盤からそこかしこにそこかしこでなっていて、それが終幕に繋がるのだけれど、舞台では少々唐突な感じ(もしかしたら鳴っていたのに気づかなかった可能性もありますが)が残ります。何より、電柱にクルマがぶつかって、という状態を初日時点ではうまく表現できていない感じがあるのが少々残念ではあります。
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