【芝居】「Noodles」うさぎ庵
2014.5.5 15:30 [CoRich]
ニューヨークマンハッタンを舞台にした、麺類クライムサスペンス風味の60分。楽しいけれど、現実へのリンケージもきっちり研ぎ澄まされています。近藤強(青年団)の一人芝居。 5日までザ・スズナリ。
マンハッタンの立ち食いそば屋で女に声をかけられた、ニューヨーク在住の日本人は、破格の報酬惹かれて不動産売買の通訳の仕事をうける。翌朝現れたのは、強面の風貌の男で、リトルイタリーの料理店をもつ、パスタにこだわる男の店を買い取る交渉を始める。 売買は纏まったかにみえたが、合い言葉に反応して店の奥に消えていく。
役者が一人で舞台に現れ、日常の会話、いわゆるマクラで始まります。ニューヨークに住んでいたこと、時そばという落語のこと。寄席に比べれば客席の指向はバラバラだし、増してや無料招待な高校生たちも多い客席です。何を知っていて、何を知らないか、ということがバラバラな客席をゆるゆると地均ししつつ、始まる物語の体裁が、寄席っぽくて楽しいのです。
マンハッタンで立ち食い蕎麦、という地元に住んでいる人の場所、そこで声をかけられて破格の報酬の通訳のアルバイト、というありそうな感じ。不動産売買の通訳に行ってみれば、パスタに命をかけている今の店主と、この店を買おうという強面の男は(青森県)黒石のつゆ焼きそばという麺類談義。一人芝居としてやる方法として、通訳の男、という選択が面白くて効果的。どちらの言葉でも、彼を介して行われるわけで、それを聴く表情だけでわからせたり、ポイントはちゃんと通訳の言葉として発せられたりと演出という編集が自由自在で、濃密に作り上げます。
すべての事件が解決したかにみえた、その瞬間のワールドトレードセンターが見える場所からの911。ここまでの物語の作りに対して、なぜこの芝居にこのシーンを絡めなければならないのか、という真意はわからないけれど、WTSがあったあの瞬間にマンハッタンに居たということだからこその強い思いなのだな、と感じるのです。
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