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2014.05.29

【芝居】「いつか、どこかに」グループK

2014.5.25 14:00 [CoRich]

スタインベックの「二十日鼠と人間」を原作(wikipedia)にひいて津波に沈んだ新宿を舞台に置き換えた110分。25日まで笹塚ファクトリー。

震災で関東が壊滅する。被災地処理のための労働者と彼らを相手にする商売をするものだけが関東に残っている。頭が弱いが優しい大男と、頭の回る男の二人組が仕事を求めてこの地にやってくる。大男はあちこちでトラブルを起こし、生き物の毛皮の手触りが好きだが力余って殺してしまうが、頭の中にはやさしいおばさんと殺してしまったネズミが居て会話している。頭の回る男は金を貯めて南の島で静かに暮らす日々の夢を語って聴かせる。
果たして現場で雇われることが決まる。社長の息子は元ボクシング選手だが現場の男たちからはバカにされている。その妻は魅力的な女で現場の力強い男たちを誘惑している。妻は大男を誘惑するが、大男は殺してしまい、現場の男たちからも追われる身になる。頭の回る男は、おばさんから大男を守るように云われていてずっとそれを守ってきたが、ついに大男に銃口を向ける。

原作を引きながら、舞台を災害のあとの日本という近未来に設定。男の労働者ばかり、楽しく働いてはいるけれど、這い上がることが出来ない閉塞感を通り過ぎてもう諦めて日々を暮らしている人々。二人組はいつか、こういう暮らしから抜け出して穏やかに暮らすことを夢見ている、それに乗ろうとする人も居たりして上手くいきそうになるけれど、あっさりとその夢は破れて二人組の相方との別れが来る、という枠組みは同じで、丁寧に積み上げていくように描きます。

もともとの物語の骨子を尊重しつつ日本における労働者階級、しかも男ばかりという場所を設定しようと考えたのでしょう。日本の、災害のあとのという場所を設定しています。正直にいえば、大げさに変えたわりには、それが必ずしも生きているとは言いがたい感じがあります。日本である必要はともかく、 (いくら近未来の架空のこととはいえ)今の日本で震災とか海に沈んだ町とか、というあからさまに 現実にリンクしたものを持ってきているわりには、物語が震災ということを生かし切れていないと思うのです。

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