【芝居】「バキュラ未来系」BLUES
2014.5.23 20:00 [CoRich]
番外公演として、信州大学の劇団・山脈の作家を迎えて。 25日まで信濃ギャラリー。60分。
高校時代の友達4人の男が久しぶりに集まる。お笑いコンビとして活動している二人、まだ学生の男、家業を継いでいる男。 お笑いコンビは今一つ芽が出ず、一人はそろそろやめて公務員試験でも受けようと思っているが言い出しっぺの相方のやる気は変わらず、言い出せずにいる。ほろ酔い加減になったころ、昔やったファミコンのシューティングゲームの話になり、久しぶりにやってみることにする。お笑いをやめることを言い出せない男はゲームに没頭するうち、突然、何かにとりつかれたように。
まだ生き方が定まらないけれど、単に遊んでいるというわけにも行かないいい歳になった男たち。夢を追いかけていたり、諦めたり、まだふらふらしてたり、働いてたり。焦るような気持ちだったり、酔っぱらいのあれこれだと思っていると突然、一人が「どこかの世界」に取り込まれてしまう感じ。それは、これからの生き方への迷いと、目の前の壁をシューティングゲームの手強い障害物にたとえ、いくら撃っても歯が立たないいまそこにある困難を象徴的に描きます。
若い作家だけれど、ゼビウスとはずいぶんレトロなビデオゲームを持ってきて。まあ、アタシにはドンピシャなのでうれしいわけですが。壁にたちむかううち、迷いがないようにみえた相方にも迷いがあり、互いがわかりあい、助け合えるのだという瞬間のわくわくする感じ。
妄想世界に入れ替わりはまりこんでいく男を冷静に眺める友人たち。でも、それは誰にでもやってくる、という感じで全員に。男たちは入れ替わりたちかわりその障害に立ち向かうけれど、それはとても困難で。正直にいえば、「はまりこんだ一人」と現実を生きる人々の対比で描く感じではあるのに、4人目に至り、その一人しか居ないわけで、それなのにその神の声が観客に聞こえたりはしないので、ちょっと観客の視座がどこにあるのか迷う感じはあります。
はまりこんだ夢想の世界に広げまくった大風呂敷をどう回収するかが終幕のポイントですが、三人は現実に戻り酒を買いに出かけるものの、最後の一人は夢想する世界のままに取り残されたようなのは、どういうメッセージなのかな、と考えたりも。
信濃ギャラリーの1/3ほどを占める大きさで少しだけ高さをあげて若者の部屋という体裁で。信濃ギャラ理で装置を作り込むのは珍しい。小道具も青一色に統一されて(BLUESか、なるほど)いて、ちょっと洒落ていますし、オープニングのキャスト紹介もちょっとカッコイイ。
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