【芝居】「紙風船文様5」カトリ企画UR
2014.5.17 17:00 [CoRich]
岸田國士の「紙風船」(青空文庫)(1)を同じキャストで演出を変えて上演し続ける企画の5回目。はナカゴーの鎌田順也の演出で。アタシは初めて拝見します。三社祭で賑やかな、あさくさ劇亭で18日まで。50分。
落とした結婚指輪を拾おうと便器に腕を突っ込んで抜けなくなった新婚の妻は夫に助けを乞うが、夫はそれを妻が日常に飽きて嘘をついているのだといって取り合わない。
平日は夫が仕事に行き、妻は家に居るという二人の家。休日なのに夫は会社の同僚と出かけるのかといって妻は不満で、妻はせっかくの日曜なのだから夫と出かけたい、という構図を基本にもちつつ。 不満があるというよりは、家に縛り付けられている、という女性像を便器から腕が抜けないというシンプルなポイントにして、そういう問題点があるということにすら気がつかない夫との対比。夫は妻の遊びだといって取り合わないという理解されなさ。 じっさいのところ、このポイントをごくシンプルに、しつこいほど繰り返して描くことで、この重要な一点突破というのが巧く機能しています。
品川から鎌倉、海浜ホテルの海、という原作に対して、下町らしく路面電車で荒川遊園、というのが微笑ましい。今時っぽく、途中で見える店だったり。イベントがないとデートじゃないのか、という台詞(まあ、洋式便器なのだから昔の話じゃないんだけど)で、今時っぽく造型しているのもいい。
妻を演じた黒岩三佳はもちろん安定。 額にしわを寄せて大声で助けを呼ぶ、なんてキャラクタを演じることはそうそうありませんから、ちょっと新鮮な感じ。夫を演じた 武谷公雄は、優しいのに妻から見ると理不尽に過ぎる存在をしっかり。
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