【芝居】「うさぎストライプと20歳の国」うさぎストライプ
2014.5.4 13:00 [CoRich]
アトリエ春風舎の芸術監督に就任した大池容子のユニット、うさぎストライプによる企画公演は「20歳の国」との「青春を謳歌できなかった演出家2人が描く、青春のおはなし2本立て」。出演者は共通で、60分ずつで、休憩を挟み130分。6日まで春風舎。
高校の入学式で出会った人々。クラブやクラスで親友が出来たり、恋人ができたり、告白し損なったり、フラれたり。文化祭で頑張ったり。ちょっと距離が出来たり関係が変わったり。三年が経ち迎えた卒業式。卒業出来ない生徒も学校には来ていて」「Don't Be a Stranger!」(20歳の国)
難病が流行っている町。入院している夫を見舞う妻はせがまれて、前にした話を繰り返し方って聞かせる。風俗に勤める女は恩師にはアイドルになったと云う、その店の常連は物語を書いている男だったり、恋人とは出来ないのに風俗には通う男だったりする。恋人の女は男の同僚の優しさに気持ちが傾いたりもする。「学級崩壊」(うさぎストライプ)
二十歳の国は見やすくて甘酸っぱい青春の日々を多少の半笑いを交えつつ。高校の二組のカップルがクロスして男同士のバスケット部での関係、女同士のクラスメイトや親友としての関係だったり、 そのカップルたちのあいだで浮気な気持ちがもたげたり、片思いが連鎖したり。 卒業式には出ないけれど学校には来ていて、秘密の喫煙場所には居たりするという場所の設定が うまく機能していて、ここまでは一緒だった人々のこれからの人生が分岐していく感じはやや切なく、 しかしあの頃にはありそうなことがてんこ盛りに。 これがじつはわかりやすくて、セイシュンを切り取ったかのよう。正直に云えば、ここまでセイシュン な日々を送らなかったアタシにはあまりにリア充で漫画のようにステロタイプだなと感じないことは ないのですが、それは大きな問題ではありません。このシンプルさこそが価値なのだと思います。
長くはない芝居を観ているうちに、それぞれの役者がそれぞれの役のキャラクタに見えて きます。クセのある女を演じた石川彰子はそう見えてくるし、それに惹かれちゃってまわりもつきあってると思ってるのにあっさり告白もされないままフラれる男を演じた水野拓との会話が楽しい。 井上みなみと湯口光穂が演じた女子高生二人、親友だねとおもったり、フラれたといってカラオケで 発散したり、というバディな感じなのに、卒業間近になると、一人がハブられてちょっと 距離が出来るというのが切ない。斉藤マッチュはこのカップルたちの間から離れた立場 で訊きにくいことずばっと訊けたりという一匹狼を好演。
うさぎストライプは何かの病気がはびこる町、亡くなる夫を見舞い続ける妻と昔の妻の話を切きたがる夫の風景、風俗に通う男たちは恋人とはできないのに風俗通いだったり、きまじめな作家だったりといういくつかの風景。マクロに俯瞰する町のごくミクロな暮らしている人々を会話をズームアップするかのような描き方。
この劇団を続けて観ている人には判りやすいというような声も聞こえるけれど、あまり見慣れないアタシには、その点描それぞれの物語は見えてもマクロに俯瞰したときの幹が感じづらくて 少々戸惑います。おそらくは意味があるだろう、壁押しや椅子に座った女を運ぶといった演出も 唐突感の方が強く感じられて、物語をフラットにみたいな、と思ったりもします。
とはいえ、たとえばちぎった紙を投げ合うことがエスカレートしていって大量の紙くずが溢れるとか、あるいはスクワットしあうことでセックスを描いて息が上がる感じとか、演出のアイディアの面白さもまた 魅力を感じたりもするので、悪いことばかりというわけでもないのですが。
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