【芝居】「はるヲうるひと」ちからわざ
2014.4.5 14:00 [CoRich]
2009年初演(は今は亡き、トップスでした)の再演。 13日までスズナリ。115分
売春を生業とする島。四人の女たちの居る売春宿。この宿の持ち主である男、その腹違いの弟と妹も居るが、妹は売春出来ない身体で奥に引きこもっている。客はまばらだ。腹違いの弟と妹に対しても、四人の女たちに対しても兄の仕打ちは容赦がない。女たちはこの島を出て行きたいとは思っているが、そのアテもない。性病の恐怖、何をしても這い上がれないと女たちは諦めている。 初演と一人を除いて同じキャスティング。いつものとおり、アタシは記憶力がザルなので新鮮に(笑)。 5年たった女優たち、それなりに弛み、それなりに熟して。というカラダの線を見どころ、というのは 少々失礼なことを云ってる気もしますが、単に若くてピチピチ、というばかりが色気じゃないと感じるのは自分も歳を取った証拠ということを再確認したりも。
初演との一番の違いは、主宰・佐藤二朗の知名度が飛躍的にあがったことで、テレビや映画で見かけることも多くなり重要なバイプレイヤーになっています。そのおかげか、客席もわりと豪華だったり、あるいは佐藤二朗目当てとおぼしき客がロビーで嬉しそうに挨拶してたり。なんせ「休むに似たり」の二朗です。小劇場に帰ってきてくれた、という感覚のアタシは素直にうれしく思ったりします。
野口かおるは他の芝居でよく見る暴れん坊の印象の方が強い役者ですが、静かに泣き続けるような役の細やかさが魅力。笹野鈴々音のセックス好きだったり、外国人とのラブラブな感じだったり。子供にみえてこういう奔放さはこの役者の得意とするとこで安定感。得意といえば太田善也のやや空気読めない感じで時折鋭い外国人というのも圧巻の安定感。全体的に重苦しくなりがちな話だけに、オフビートに観客の空気を和ませるこの役によって生まれるリズムは見やすさにたいして重要なのです。 四人の中ではリーダー格の女を演じた兎本有紀は女たちを守る気持ちにみえるけれど、それは女の幸せの最後のチャンスをどんなにみっともなくても掴みたいという気持ちの切実さにアタシの気持ちが動かされます。 何より、今藤洋子なアタシです。アタシが観るような芝居ではなかなか観られなくなってきましたが、彼女を不舞台で観ることがとてもうれしいのです。さまざまな気持ちだったりな細やかさ。他の人々が抱えているような物語が彼女には少ないのだけれど、ツッコんだり、コミカルだったりと物語をドライブする確かなちから。
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