【芝居】「美しいヒポリタ」世田谷シルク
2014.3.30 18:30 [CoRich]
2010年初演の4年ぶり再演。3月31日まで吉祥寺シアター。125分。 ネットと現実を描いた舞台はそこそこありますが、 「夏の夜の夢」(wikipedia)に着想を得ながら、現代の真夜中を、携帯電話の電波が届かないブラックアウト で描き、夜の夢のような不思議な出来事をネットコミュニティだかゲームだかの仮想空間に 置く、着眼点のおもしろさは健在です。 もちろん、世田谷シルクの美点である古典と現代劇とのハイブリッドな感じや、オフィスという場所の説得力ややけにIT業界用語に詳しいということも実は好ましいなと思えるところ。
劇場の規模が格段に大きくなったことにはいいことと悪いことの両方があります。舞台の広さが大きくなって、世田谷シルクが得意なダンスの幅が広がったり、映像が格段に見やすくなったりということ、あるいはある程度の規模がある会社のオフィスという説得力が生まれます。反面、原作故な点はあるにせよ、役による人物の大小があるのはいたしかたないとはいえ、役者が増えたことによってその落差が拡大してしまったのはやや残念。
バイトリーダーとヘレナを演じた前園あかりはあんなにもかわいらしいのに報われず、想い続けることに切ない気持ちを掻き立てられるのはアタシの何がシンクロしたやらですが、役者としての安心感は格段に。社長の弟とディミートリアスを演じた安藤理樹との二人のシーンは格別で、シーンとしては一夜を伴にして尻尾を振ってなついている女を罵倒するというひどいシーンなのだけど、この物語の軸になる説得力。
結婚する女・ハーミアを演じた東澤有香はイヤミだけどモテる説得力、 厳しいお局を演じた武井希未のツンデレっぽさもいいけれど、夏夢としてはこれはどのあたりの役かはいまひとつわからず。 社長を演じた岩田裕耳は優しさが全面に滲むような造形の安心。 パックを演じた荻野祐輔は初演の堀越涼の印象が強すぎるアタシには少々分が悪いけれど、 いたずらっぽさは減って優しさが残る印象。
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