【芝居】「大きなお家」しなの八號
2014.3.7 19:30 [CoRich]
9日まで、ピカデリーホール。普段より狭く使っているので客席が普段とは違います。平日の19:30という開演で、75分という尺が嬉しい。
家族が暮らしている家だけれど、夏のこの時期はいつもキャンプに行くと決めている。妻は今日は人が来るからと家に引き留めようとする。夫はなんとしてもこの場所から出ていなくちゃならないという。そうこうしてるうちに、わらわらと人がやってくる。夫は隠していることがあるのだ。
シチュエーションコメディで安心の着地点。自作のコメディで暖かなな着地点というのは正しい選択で、三谷幸喜の風味。 正直に云えば、コメディの難しさは物語の構造とセリフの間合いだと思ってるアタシにとっては、若い作演の物語の構造はシチュエーションコメディの王道できっちり描いている印象。むしろ難しいのはコメディを演じる役者たちで、しかも初日ですからやや堅い感じは否めません。もっと遊べばいいのに、とロビーで声を掛ける観客に同意するアタシなのです。
芝居ができる役者の布陣ですが、とりわけミシンからの客演の二人がキッチリとドライブするチカラ強さ。やや強引にかき回す兄を演じた有賀慎之助はそのテンションを始終一貫するというパワフルさがちょっと嬉しい。アシスタントを演じて宣伝美術からオープンニングの素敵な動画までこなす篠原鈴香は、時に可愛らしく、いじけるおとこをしっかり支える造型がどこか嬉しい。この二人のシーンが楽しい。 信州大学の劇団・山脈(やまなみ)の齋藤大河の(大人が子供を演じるというある種のあざとさはあるにせよ)伸び伸びと楽しい。夫を演じたコウヘイは気弱そうなキャラクタは合っているけれど、シチュエーションコメディで真ん中にいて翻弄されるトホホ感がもっと欲しい気はしますが、それはアタシがオヤジだからですかそうですか。 妻を演じた、らぼはフラットで居続けるというのは脚本の指定かどうかわかわかりませんが、それでも夫について行くという健気さがいい。気難しい建築家を演じた無糖弘樹が、キッチンのリフォーム(か、立て替え)についての思いのたけをキッチリ語るシーンの圧力が好きです。
制作面として、入り口から遠い側の客席は導線がわかりにくく、年寄りだと踏み外しそうな気はします。 終演後の証明は後ろからの白熱球な色温度の照明はやや暗い。客席でアンケートを書かせるならば全体に明るくしてもいいですし、ロビーでも座って書けますよ、と案内する手もあると思います。
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